日銀のハト派姿勢と円安の加速
それでは、ここから日本の話に移ります。
まず、日本の消費者物価指数の発表がありまして、総合、それから生鮮食品を除いたコア、それから生鮮食品とエネルギーを除いた、いわゆるコアコアというものがいずれも国内の事前の予想を上回る大幅なインフレ加速が見られました。日銀は今、このコアの2%を安定目標のインフレターゲットとしています。ここ32ヶ月にわたって目標を上回るインフレが続いていますが、今回の政策金利の引き上げを受けて、1月をやるのかどうか、少しよく分からない、そんな慎重な植田総裁のトーンでした。
この日銀の利上げ見送りを受けて、為替市場では円がとにかく全面安になったのですが、例えば今週、ドルに対する変化率を見ますと、ポンド、スウェーデンクローナ、スイスフラン、ユーロ、カナダドル、円と全通貨がドルに対して下がっていますから、今週ドルは全面高だったということになります。しかし、その下げ幅を見ると、円が2%以上下がって突出しています。
それから、同じグラフを年初来で作ったものが右側ですけれども、やはり同じような形になっています。ドルが一番強くて、全通貨ドルで下落。ただし下げ幅は円が一番大きいという状態です。ここに数字を入れています。マイナス50とかマイナス175とか、日本はプラス35ですけれども、これは今年に入ってからの政策金利の変化幅です。例えばカナダは、今年5回利下げをしましたが、全部で1.75%利下げをしています。そんなカナダドルと、1.35%ながら利上げをした円を比べたときに、円の方が弱い、そういう状況なのです。とにかく円が弱いです。