2025年の経済予測

最初から記事タイトルとは違いますが、エコノミストの見方はほぼ一致しています。コンセンサスに近い見方はIMF(国際通貨基金)が10月に発表した世界経済見通しです。2025年の経済成長率は3%代前半の安定的な成長を見込んでいます。

ただし、2025年1月発足するトランプ政権の政策次第で、大きく下振れするリスクがあると指摘します。具体的には、関税引き上げの負のスパイラル、不法移民の本国や第三国への送還、中東での戦争の激化による原油価格の高騰、等の要因が顕在化すると、世界経済を大きく押し下げる要因になると指摘します。

押し下げの度合いについては、見方が割れています。いずれにせよトランプ次期政権の政策は世界経済の強い押し下げ要因になるという見立てです。

 

トランプ候補当確以降の株価

しかし、米国株式相場はトランプ当確で大きく上昇しました。株価の動きを素直に解釈すれば、株価に織り込まれたのは、米国経済が良くなり企業収益は改善するというシナリオです。要するにエコノミストの見立てとは正反対なのです。

市場の評価とエコノミストの評価が割れた場合、市場の方が正しい場合が多いと見られます。トランプ第一期政権の2017年もそうでした。2025年についても同じことが再現される可能性があるのです。

 

グローバル化の終焉と新ワシントンコンセンサス

ただ株価の動きを子細に見ると、上がっているのは米国だけです。この意味は、米国が関税引き上げや移民の送還で、他国の犠牲の上に自国だけ良くなる可能性があるということです。

グローバル化の時代は違いました。世界経済が一体化して、米国が良くなれば世界中で良くなる、悪くなれば世界中で悪くなりました。世界経済の一体化を背景に株価も上がる時は世界各国の株価が一斉に上がるなど同じ方向に動きました。

米国トランプ政権の再登場は、米中対立の先鋭化など、グローバル化の終焉を決定づける可能性があると思います。そうなると、経済も株価も反グローバル化の時代に適応する国が勝ち組になり、適応できない国が負け組になる可能性があります。まだ全容は見えませんが、関税引き上げや移民の制限など反グローバル化の時代に適応する経済政策は新ワシントンコンセンサスと呼ばれ始めています。

 

日本は勝ち組に入れるのか

日本はソ連崩壊から始まった世界経済のグローバル化に上手く適応できませんでした。これが失われた30年の原因の1つになったと断じて良いでしょう。その意味では反グローバル化への転換は、日本にとって経済再生のチャンスとなる可能性があります。

実はその流れは出来つつあります。故安倍元総理の時代には日本は米国トランプ第一期政権とうまく対峙しました。2016年の大統領選挙期間中にトランプ候補は対日批判を強めていました。しかし結果的には、日本は米国から叩かれることはほとんどありませんでした。逆に日米で産業協力する分野が顕著に増加しました。日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ、日米半導体協力基本原則、日米商務・産業パートナーシップ、などです。

今後の米国の経済政策のキーマンはベッセント次期財務長官になると見られています。ベッセント次期財務長官はトランプ次期大統領に「新3本の矢」を提案したとされています。これは、財政赤字GDP比率が3%以下、原油増産300万バレル、規制緩和により3%成長を目指すというものです。オリジナルは安倍政権時代の3本の矢で、共に発案は浜田宏一元内閣府参与とされています。

財政赤字の削減と経済成長率の底上げは日米共通の課題です。課題が共通なら解決方法も共通のはずです。そのためにトランプ次期政権は、新ワシントンコンセンサスを推し進め、減税、政府効率化省(DOGE)を新設して規制緩和と行財政改革を推し進める見通しです。

ここには日本も大いに教訓がありそうです。日本では既に野党の国民民主が減税、維新が規制緩和、で多くの提案を出しています。石破政権が上手く米国トランプ政権と対峙し、国民や維新など野党の提案を取り入れ、新ワシントンコンセンサスに適応した成長戦略に取り組むかどうか、ここが日本経済再生のポイントになると思います。そして、これこそが日本株が米国株に追随して上がる条件になると思います。

 

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