FP小室さんが「今ではない」とアドバイスする理由は…
「ええっ、いい物件なのにどうしてダメなんですか?」と食い下がると、小室さんはこんなふうに答えたのです。
「よく持ち家と賃貸、どっちが得かなんて言われてますよね。僕は不動産会社の出身ですから、ガチガチの持ち家派です。渡部さんにもいずれはマイホームの購入をお勧めしたいと思いますが、今じゃないんですよ」
そして、丁寧にその理由を説明してくれました。
「渡部さんのように新居で子育てをスタートしたいと考える人は実際に多い。でも、僕はそれを『悪魔の選択』と呼んでいます。子供を持つ前と持った後では大きく価値観が違ってくる可能性があります。特に渡部さんのようなパワーカップルの場合、子供中心の生活になることで、乗る車も、よく行くお店やレストランも、全く変わってしまう人が多いんです」
「僕の知り合いのバリキャリ夫婦は、ご主人が関西に転勤になった時に、奥さんの方が『ワンオペ育児は無理!』とあっさり仕事を辞めて着いていきました。子供が生まれたことで人生観が変わり、スローライフを志向して地方に移住した人もいます。いずれも極端なケースですが、要は、子育ては実際に始めてみないと不確定要素ばかりだということです」
「お二人とも今のような働き方を続けていくのなら、家の近くに夜遅くまで預かってくれる保育園があった方がいいし、休日や夜間も診療してくれる小児科があると便利ですよね。就学前は奥さんの実家の近くに住んでいれば、いざという時にはご両親の手を借りることもできます」
「子供はあっという間に大きくなります。どこそこの私立に通わせたいと考えているなら、通学のしやすさにも配慮しないといけません」
「渡部さんは、今、僕が言ったようなことを全てチェックした上で、このタワマンを選びましたか?」
そんなふうに畳みかけられるとぐうの音も出ません。