お米のプライスメーカーは実質、JAグループ

とはいえ、お米の価格は完全な市場の需給バランスで決まるわけではない点にも、留意しておく必要はあるでしょう。

かつては「政府管理米」が主体で、お米の価格は政府が決めていましたが、徐々に農業者が販売できる「自主流通米」の比率が高まり、1990年には政府管理米の比率が2割を切ってきました。

そのため、1995年には食糧管理制度が廃止され、原則として農業者が自由にお米を販売できるようになったのですが、それでも現状、まだ完全な自由競争にはなっていません。豊作で米価が安くなると、農水省が余ったお米を買い上げて価格を調整することが、行われています。

また、お米を自由に販売できるとはいえ、完全自由にお米の価格を決められるわけではありません。お米の流通の5割を占めるJAグループや、経済農業協同組合連合会が、農業者からお米を集荷する時に支払う代金となる「概算金」を決めているからです。

これから市場に出回ってくる2024年産米ですが、出荷が早い鹿児島の概算金が、前年に比べて60キロあたり6000円値上がりしました。言うまでもなく、直近の需要増を反映しての価格決定だと思われますが、正直なところ、なぜ6000円の値上がりなのかが、よく分かりません。一般的にお米のプライスメーカーは、お米の流通の5割を占めるJAグループですが、そこがどのような基準でお米の価格を決めるのかが不透明だという批判は、よく聞かれます。

その意味で、8月13日に大阪の堂島取引所で始まった「コメ指数先物」は、需給を反映したお米の価格という点で、その不透明性を払拭することが期待されています。