勤務先に電話するも在籍していないことが判明
慌てて金井さんの勤務先に電話すると、「金井という従業員は在籍しておりません」と言われました。私募債についても、「発行はしていますが、そもそも、一般の方に販売することはありません」とすげない対応でした。
すぐに警察に連絡を入れました。すると、先のニュースに出てきた男性も金井さんを通して保険の契約や私募債の購入をしていたことが分かりました。
やられた! と思いました。しかし、あまりに鮮やかなというか自然な手口に、自分が被害にあったと納得するまでしばらく時間がかかりました。
お金を借りた両親に隠しておくわけにはいかず、報告すると、「『石橋をたたいて壊す』結菜をだますんだから、金井さんって人は相当なやり手だね」と妙な慰め方をされました。
金井というのは偽名だったようです。警察は本名も把握していますが行方はつかめず、振り込んだお金もすぐに他の金融資産に移されていたようで、今のところ、お金を取り戻すメドは立っていません。
皮肉なことに、金井さんから勧められた新NISAの投信の残高は順調に増えています。
これで満足しておけば良かったのに、欲をかくからこういうことになったのです。「アンテナの高い人」なんて言われていい気になって簡単に大金を預けてしまうなんて、どこが“しっかり者”なんだよ……。
警察の人から、ここ数年Z世代やY世代の詐欺被害が急増していると聞きました。私のような被害者が今後1人として増えないことを祈るばかりです。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。