和哉さんの転職時に発生した「誤った記録」

しかし、転職があったとはいえ、結婚後の和弥さんはずっと会社員だったはずです。美咲さんはずっと3号ではなかったのでしょうか。年金事務所の窓口で美咲さんは「不整合記録の訂正によって未納期間となるのは平成6年5月です」と言われました。

和弥さんは確かに平成6年5月に退職し、翌6月から次の会社へ転職しています。しかし、実は和弥さんはこの平成6年5月の月末ではなく、15日に退職していました。半月空いたうえで、その次の会社に6月1日に就職していましたが、月の途中で退職している平成6年5月分は夫婦そろって第1号被保険者となり、国民年金保険料を納めなければならない月となります。

それが、どういうわけか、美咲さんの平成6年5月分は第3号被保険者の期間として計算されたままとなっていました。当時、和弥さんの退職の際に第1号被保険者へ切り替わることについて、美咲さんは何も聞いていなかったか、まったく知らなかったかもしれません。かなり昔のことですから、当時の記憶も定かではありませんし、その後も切り替えの手続きをしていないまま今に至っていました。

しかし、年金記録上の事実として、和弥さんが月末まで在籍していなかったことから平成6年5月は第2号被保険者の期間とならないのに、美咲さんは第3号被保険者期間となっていて、結果、3号不整合が発生しています。

当然、これは誤った記録であるため、訂正が必要となり、結果として平成6年5月分は第1号被保険者期間となります。第1号被保険者期間になっても、その平成6年5月当時の国民年金保険料は今から納めることができません。3号だった場合は納付扱いになるところ、この月が1号未納扱いとなるため、その1カ月分の年金が減ることになるのです。

老齢基礎年金の満額は年額816,000円(2024年度の68歳以下の額)のため、1カ月分だと816,000円×1月/480月で年額1700円減る計算になります。