新しい職場での小池さんの見事な活躍ぶり
とはいえ今までと全く異なる環境での仕事です。最初は小池さん自身公務員の仕事ができるのか不安な中での出発でしたが、予想以上の活躍をします。
仕事は折しもコロナがまん延していた頃。主な業務として担当エリアの中小企業や商店会へ行き、公的補助金の説明をするというものでした。前職で小池さんはクライアントにプレゼンテーションすることが日常業務。得意先に分かりやすく説明することは当たり前のことでした。
ところが役所から発信されている案内文を読んでみると文字が小さく、文章が細かく全部を網羅するように書かれていたことに驚きます。
「これではどこに何が書いてあるのかわからず理解してもらえないだろうな」
そこで端的に伝える内容だけに絞り、大きな文字と図を取り入れ案内文を作成してみました。すると訪問先の方々から思わぬ反応が。
「今までで一番わかりやすく、どうしたらいいか一目瞭然ですね。有り難うございます!」
おかげで地元の中小企業や商店会を訪問した時もわかりやすい説明が好評で、ほとんどの人たちと顔見知りになり、人の役に立てているという実感や達成感が湧いてきました。
こうした活動や実績は役所の中でも話題になり、小池さんに対する見方が大きく変わってきたのです。業績評価も異例の高評価でした。
「今まで当たり前にやっていたことでも、環境が変わるとそれが強みになるのだと気付きました。自分ではわかりませんね」と小池さん。強みは違う勤め先でも発揮できるのだと自信を持つことができました。
再就職での思わぬ発見
また、新しい出会いである地域の人たちから気付かされたこともあります。話し合う時は対等に接しないと反発されうまくいかない。そのおかげで上から目線だったのが随分改善できたそうです。
「外資系広告代理店時代にはおよそ接する機会のなかった人たちと触れ合うことができ、その方々から多くのことを学んでいます」
職場での交流によって人間としての幅がますます広がってきたようです。
さらに再就職をしてからは、「お金を稼ぐことと収支のバランスを考えて生活することはとても大切、そしてそれは普遍のルールだ」ということも改めて実感することになったと言います。ですが、それ以上に気付かされたのは「“世のため・人のため”に貢献したい、自分が培ってきた知識やスキルを多くの人たちに還元したい」という気持ちが高まっていることでした。
小池さんはこうして気持ちの変化もあり、もっと自分の可能性を試してみようと決意。その取り組みの1つとして、国が主催している「中小企業と個人=人材のマッチング事業」にトライします。
すると、なんと3年連続でマッチング候補に選ばれたのです。素晴らしいことですね。マッチングした会社とは徐々に打ち合わせが始まっているようです(小池さんは会計年度職員のため副業可能)。また都が主催するビジネスコンテストにも参加され準決勝まで勝ち進むという記録も作りました。
趣味も充実
実は小池さんは趣味がオートバイのツーリングで、週末は1日500~700キロ爆走するライダーです。最近では自分のライフワークであるバイクでも世の中に貢献できないかを考えています。
「シニアになってバイクを始めたいとか、昔乗っていたが再開するには自信がないという人に向けてのスクールをやりたい。そしてその方々とシニアの生き方や働き方などのコミュニティーを作ってみたい」と都内での安全運転スクールや、あるいは地方移住も視野に入れたバイク練習場の開設など、夢が膨らんでいます。