ついにかなった! 佐々木さんの最期の希望

長島さんの行動力に心底驚かされたのは、その翌週のことでした。

その日、長島さんは佐々木さんと同年代の女性を伴って病室を訪れました。佐々木さんのご友人かと思っていたら、なんとそれは、佐々木さんの亡くなったご主人の妹さんだったのです。

佐々木さんは残った財産を、自分たちの身勝手のおわびを込めてご主人の実家に渡したいと考えていました。しかし、当のご主人がいなくなってしまったことで、自分から連絡するのはためらわれたようです。その最期の希望を、長島さんが見事にかなえたのです。

「よっちゃん、久しぶり」

「あれから50年もたつから、お互い、年を取ったよね」

仲のいい姉妹のように話す2人の姿には、過去の確執は一切感じられませんでした。実は妹さんも、ひそかに佐々木さん夫妻のことを応援していたようです。妹さんは「今は代替わりして私の息子が社長をしておるけど、地方の建設業界は大変。支援してもらえるのは本当に助かる」と話しました。

そして、その後も妹さんは遠路、何度か佐々木さんのお見舞いに足を運んでくれました。