3つの受け取り方の中で最も選ばれているのは?

企業年金がある会社にお勤めのみなさんは、①~③の受け取り方のどれを選びたいと思いますか?

3つのうち、よくおすすめの受け取り方として記事になるのが、年金資産を一括でどーんともらう一時金受け取りです。そして、実際に、企業年金を一時金としてもらうことを選択している人はかなり多いようです。

厚生労働省年金局「公的年金と私的年金の現状と課題について」に掲載されている「新規受給者数ベースでみた老齢給付金における年金・一時金の選択状況」を見ると、確定給付企業年金で68%、企業型確定拠出年金で93%の人が一時金受け取りを選択していることが分かります。

一時金受け取りを選ぶ人が多い背景には、一時金と年金では受け取り時に適用される税制の違いが指摘されています。

企業年金を一時金で受け取る場合の税制

企業年金は、一時金で受け取ると退職所得控除の対象となり、勤続年数に応じた所得控除を差し引いた残りの金額の2分の1に所得税・住民税が課税されます。他の所得と分けて課税される分離課税が適用されるため、大きな金額を受け取っても社会保険料に影響しないこともメリットになっています。

退職所得控除は、下記の計算式で勤続年数が長いほど有利な仕組みです。

●退職所得控除

勤続年数20年以下 → 40万円×勤続年数
勤続年数20年超 → 800万円+70万円(勤続年数-20年)

企業年金を年金で受け取る場合の税制

一方、年金として受け取る場合は、その年に受給する他の年金(公的年金など)と合算したうえで、公的年金等控除が差し引かれ、残りは雑所得として総合課税となります。2分の1課税といった優遇措置もありません。

他の所得と合算して所得金額が多くなると、社会保険料が上がり、医療費の窓口負担割合も増えてしまう可能性があります。

●公的年金等(合計所得金額が1000万円以下の場合)

65歳未満 → 公的年金等の収入額が60万円超から雑所得として課税対象
65歳以上 → 公的年金等の収入額が110万円超から雑所得として課税対象