2. 長期投資に適したアクティブFの選び方

それでは皆さまの資産運用でアクティブFを活用するためには、どのように選ぶのが賢明でしょうか。                                                                                                                                                                                                                                                       

長期投資のためのアクティブF選びの必要条件

長期投資を行うためにアクティブFを選ぶ場合には、どうしても欠かせない条件が3つあります。

(1)当該ファンドの分析評価を行うために必要な情報が開示されている
(2)長期に渡り良好な運用実績をあげている
(3)運用に必要なコストが許容範囲に収まっている

なお、(2)に関連して、ファンドの運用力の源泉(運用体制や運用手法)を確認理解し、その源泉に対する信頼度に変化がないか継続してモニターすることで、さらにファンド選定の成功確率を引き上げることができます。この点をご説明するには多くの字数が必要となりますので今回は触れませんが、ご関心のある方は私がFinaseeで連載しました「篠原滋の投資信託選びの『新常識』」をご参照ください。

(1)当該ファンドの分析や評価に必要な情報が開示されている

ファンドの評価に必要な情報が十分に開示されていないアクティブFには、いくら運用成績が優れていても投資できないでしょう。最近では、各運用会社が自信のあるファンドに関する情報提供に積極的で、そのファンド専用のウエブサイトを設けてさまざまな情報を掲載しています。また同じファンドでも、販売会社によっては、より詳細な情報を網羅した資料を作成しウエブサイト上で開示しています。

以下は、あるアクティブFに関する詳細な情報が網羅された商品説明資料に収められている情報の例です。これだけの情報を一度に見ることができれば、当該ファンド運用で利用される投資戦略(注)の長期での運用実績も確認できます(運用実績の確認については次項を参照)。また、投資戦略の特徴や有効性を理解し、確認することもできるでしょう。

●  投資戦略(注)の運用実績(さまざまな切り口での分析含む)
●  運用会社の概要 (歴史・投資哲学・組織・運用資産/商品構成と変化)
●  運用者/チーム (経歴・担当業務・過去の交代)
●  運用プロセスの解説
●  過去の投資銘柄事例(投資の経緯・パフォーマンス貢献度・売却理由)
●  ポートフォリオ(現在の状況・過去の変化)
(注)当該ファンドの運用で採用されている投資戦略。他国でのファンド設定や機関投資家向け運用で運用実績をあげているものもある。

(2)長期にわたり良好な運用実績をあげている

運用成績に関しても、自信のあるファンドに関しては運用会社が積極的に情報提供を行っています。運用実績について確認していただきたいポイントは以下の通りです。

ファンドもしくはファンドが運用に利用する投資戦略が長期にわたり良好な実績を有していること
さまざまな市場変化のサイクルを通じて実績をあげていることが望ましいと考えます。少なくとも2008年の金融危機を乗り越えた運用実績が理想ではないでしょうか。

安定性の点で運用成績が優れていること
ベンチマークやその他運用目標にどれだけ勝ったかも重要ですが、負けた時の負け幅が大きくないことの方がより重要と考えます。

運用目標の達成度および達成確率が高いこと
運用者も認めたベンチマークもしくは比較対象とする市場指数との比較がより重要です。他ファンドとの比較や順位づけは重要ではありません。

運用成績はあくまでもその目標に対する達成度が重要であり、ベンチマークを有するファンドはベンチマークに対する勝ち負けが目標の達成度です。従ってベンチマークを定めないファンドやその他運用目標を定めないファンド、あるいはベンチマーク以外の参考市場指数等との運用成績の比較すら行わないファンドは、運用実績の良否が判断できないため、投資対象にはならないでしょう。

なお、他ファンドとの運用実績の比較の結果は、運用者/チームの運用力だけではなく、その他の要因(比較対象ファンドの妥当性あるいは測定期間やタイミングなど)によっても左右されます。他ファンドとの比較結果が必ずしも実力を現わさない以上、その結果は重視すべきではありません。評価機関など第三者が行うランキングやそれに基づくアワードも重要視すべきではないと考えます。

(3)運用に必要なコストが許容範囲に収まっている

コスト水準の重要性については言うまでもないと思いますが、その確認方法に関してもポイントがあります。

●購入時手数料が最小限に抑えられること
購入時手数料は同じファンドであっても販売会社や購入方法によって水準が変わりますので、できるだけ安いところで投資することが理想です。
また販売会社やファンドによっては、割引やキャッシュバックキャンペーンが行われているものもありますので確認する価値がありそうです。

●信託報酬率の水準の低いものを選ぶこと
一般的に行われている競合ファンドとの比較も重要ですが、過去の実績や今後期待されるリターンに対して、信託報酬の比率が妥当かどうかを確認することも必要でしょう。詳しくは別の機会にお話しします。

●できれば確定拠出年金やNISAの枠を使って投資すること
確定拠出年金やNISAではさまざまな目が対象ファンドのコスト水準をチェックしています。確定拠出年金やNISAで購入できるファンドでは、コストが著しく割高である可能性は低いでしょう。