SBI証券の投信売れ筋ランキングの2025年4月のトップ3は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の順だった。第4位には前月の第5位から「SBI 日本株4.3ブル」が浮上し、前月第4位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」は第5位に後退した。前月に第11位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が第10位にランクインした。また、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(通称:世界のベスト)が第9位から第7位にジャンプアップした。

 

◆米国株人気が継続するもののパフォーマンスは悪化

4月は米トランプ政権が発表した大規模な「相互関税」が世界経済に与える悪影響が懸念されて世界的に株価が不安定な動きになった。その後、米国は相互関税の適用を90日間停止すると発表し、対象国との外交交渉が始まったことで市場の動揺が徐々に収まるような動きに転じた。震源地であった米国株式市場は、4月8日までに「S&P500」は3月末比で10%以上も株価が下落した。2月19日の史上最高値からの下落率は18.9%にもなった。この間は、世界各国で手広くビジネス展開する大型ハイテク企業の株価下落が目立ち、大型ハイテク株の影響を強く受ける「NASDAQ総合」は4月8日には2024年12月高値から24.3%安の水準に沈んだ。その後、株価は持ち直し、「S&P500」は4月の月次で3月末比0.76%安、「NASDAQ総合」は同0.85%高になった。

4月のSBI証券の売れ筋では、米国株式の動揺があったにもかかわらず、米国株を主要投資対象としたファンドが上位にある。「NASDAQ総合」が直近の高値から20%以上の下落となり、経験則では「弱気相場」になったこともあってか「iFreeNEXT FANG+インデックス」や「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」は順位を落としているが、「S&P500」や「S&P500」に準じる株価指数といえる「オルカン」の人気は衰えがない。

ただ、株価の下落によってパフォーマンス(運用成績)は悪化している。特に、つみたて投資のメイン投資対象として意識される「オルカン」や「S&P500」のつみたて投資の評価額が4月時点ではついにマイナスに転じた。2024年1月に新NISAがスタートして以来、「つみたて投資枠」を使って毎月末に2万円のつみたて投資を実施してきた場合、「オルカン」も「S&P500」も2025年3月末まで15カ月間、月末ベースでは常に黒字(評価益)だったものが、2025年4月末時点で初めて赤字(評価損)に転じた。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)はつみたて投資元本32万円に対し評価額は31.1万円、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は元本32万円に対し評価額は30.6万円だ。

投資を始めるにあたって「価格変動があって元本は保証されていない」ということは理解しているだろうが、スタートしてから1年以上にわたって常にプラスの成績だったものが、15カ月目に突如としてマイナスになってしまったことのショックは大きいのではないだろうか。5月にプラスに復すれば影響は小さいだろうが、2カ月連続でマイナスの評価になった場合、新NISAから投資を始めた人たちの投資行動はどのように変化をするのだろうか? これからを見守りたい。