男性との出会いと別れ

男性は商社で部長職を務めた人で、出会った当時は長年連れ添った奥さんを病気で亡くしたばかりでした。2人は一時籍を入れることも考えたようですが、男性には息子さんがいたため、家族の感情に配慮し、また、将来相続が発生した際のトラブルを避けるために話し合って内縁関係を続けることにしたと聞きました。

ですから伯母は自分のマンションに住み続けたまま、通い婚のような形で男性の自宅を訪れ、掃除、洗濯、食事などの世話をしていたのです。

しかし、数年前から男性に認知機能の低下が見られ、検査を受けたところ、アルツハイマー型認知症と診断されました。2022年末には1人で生活するのが困難になったため、伯母は息子さんと相談の上で男性を施設に入れる手続きをしました。

そして入居後も息子さんや施設の許可を得てほぼ1日置きに施設に通い、かいがいしく世話を焼いてきました。その間、息子さんやその家族はほとんど姿を見せなかったそうです。伯母も詳しくは聞いていなかったのですが、どうやら、男性と息子さんの間には何らかの確執があったようでした。

伯母の献身のかいなく、その後男性は徐々に衰弱し、2023年夏には病院に入院して、そのまま息を引き取りました。