ファイナンシャルプランナーの筆者のもとに、50代のご夫婦が相談に来られました。夫の実家からリフォーム代の援助を求められたのですが、応えるだけの貯蓄がないとのこと。世帯年収1500万円の共働き夫婦にどんな事情があるのか。前後編にわたって、解決策とともにお伝えします。

<相談者プロフィール>

●夫 藤井徹さん(53歳・仮名)
・会社員
・年収900万円(手取り42万円/月・ボーナス143万円)

●妻 和歌子さん(50歳・仮名)
・会社員
・年収600万円(手取り30万円/月・ボーナス91万円)

●夫婦共有の貯蓄 250万円(普通預金)

●個々の預金 徹さん50万円、和歌子さん不明

義母に頼られ、100万円の仕送りを約束した夫

夫の徹さんは、ひとりっ子。実家の親からたいそう頼りにされており、買い物に車を出したり、庭の草むしりをしたりと、声がかかるたびに駆け付けて実家の援助をしてきました。

先週、80代の母親から、築40年の実家をリフォームするための費用として100万円の援助を求められたときも、ふたつ返事で了承したとのこと。

でも、徹さん自身の預金はたったの50万円。自分だけでは用意できないことは明白で、妻の和歌子さんに「なんとか、共有の貯蓄から援助できないかな?」と相談を持ちかけました。

その和歌子さんの返答をきっかけに、夫婦の関係性に危機が生じていると言うのです。

助けを求めた妻の態度に夫はあ然

「そちらのことは、そちらで解決してください」

妻の立場からすると当然の返事じゃないかと思うのですが、徹さんの受け止め方は違いました。義理の家族とはいえ、あまりに素っ気ない態度に、「なんて冷たい人なんだ!」と腹立たしく感じたようです。

そこで、お金のプロはどう考えるかを聞きたいと、夫婦そろって弊社を訪ねて来られました。ご相談を受けて筆者が感じたことは、収入のわりに貯蓄が少なすぎること。また、和歌子さんの義母に対する発言にトゲがあることでした。

きっと何か事情がある。家計の見直しとともに、他にも解決すべき課題があるようです。