絵美さん(女性、55歳)は、フリーのイラストレーター。両親はすでに他界し、一人暮らしではありますが、近所にパートナーが住み、CAの妹とも関係は良好で、忙しいながらも充実した生活を送っていました。

叔母に再会し、少し前からはがきの往復で交流を深めていた矢先、叔母が病院に搬送されたので来てほしいという連絡が入りました。そして、病院に着くと、医師から「ご本人は延命処置を希望されていますか? ご家族はどのようにお考えですか?」と聞かれ、叔母の意思については何も知らない絵美さんは困惑してしまったのでした。

●前編:叔母が病院に搬送され…50代女性が困惑した、医師からの「延命処置の確認」

本人の意思が分からないとき、延命処置は家族→医療・ケアチームの順で決定を下す

厚生労働省は、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を出しています。そこでは、人生の最終段階における医療・ケアの決定方針は、医師等から十分な情報提供をした上で、本人と医療・ケアチームが十分に話し合い、本人の意思決定を基本として最終的に方針を決めることになっています。

それも、一度ではなく、繰り返し話し合うこととされています。本人の意思が確認できない場合は、家族等が本人の意思を推定できるなら、その推定意思を尊重することになっており、意思の推定が難しければ本人に代わる者として医療・ケアチームが家族等と十分に話し合うこととなっています。

家族等がいなければ、医療・ケアチームが本人にとっての最善の方針を取ることになっています。「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」では、成年後見人やケアマネジャー、ホームヘルパーなどが繰り返し最善の方法を話し合うこととされており、医療機関の臨床倫理委員会で検討されることもあります。

ただ、親族がいる場合にはやはり親族の合意を得ることは重要視されていますので、絵美さんのように判断を求められることが現実的には多いと思われます。