大輔さん(男性、52歳)は食品会社で営業部に所属する会社員。いわゆる“バツイチ”で、離婚して以来ずっと父(82歳)、母(79歳)と同居しています。大輔さんには兄と妹がいますが、2人とも他県に住んでいます。

ある時、父が事故に遭って大けがを負い入院することに。やがて、入院生活の終わりが見えてきましたが、1つの問題に行き当たります。それは、事故前ほど足が動かない状態の父にとって、書斎が2階、トイレは1階、手すりもない自宅は生活する上では非常に不便だということ。

大輔さんはソーシャルワーカーから、介護保険の申請を勧められますが、父にその話をすると急に不機嫌になってしまったのでした。

●前編:「まだ世話になる必要はない!」80代父が要介護認定や手すり設置を拒否した“言い分”

会社で貴重な情報源を発見

次の日、すぐに仕事をする気にならずに、社員向けのホームページをのぞいていたところ、介護のページがあることに気づきました。これまでも見ていたはずですが、目に入っていなかったようです。

会社で利用できる、柔軟に働ける制度のほか、介護をしている社員同士が交流する掲示板がありました。親だけでなく、配偶者や子どもの介護をしている人の話もあり、普段一緒に働いている人たちも、みんないろいろと苦労があるのだなあと、改めて周りを見回してしまいました。何人かは名前を知っていますが、皆、仕事ができる印象です。そういえば、その人たちはあまり残業をせずに、会議でもハキハキ話して効率的に物事を進めているような気がします。

思い切って大輔さんも今の状況を書き込んでみました。早速、要介護認定がどのくらいになるか、認定調査の時に少し聞いておいて、段取りをするのがいいとか、ケアマネジャーの選び方など、アドバイスが返ってきました。同じ会社で働いている人のリアルな話は、どこで聞くよりも参考になります。

大輔さん自身は独身なこともあり、残業せずに早く帰ろうという気持ちはこれまでほぼなかったのですが、もしかしたら働き方を見直すきっかけになるのかもしれません。