介護休業・休暇=「介護をするために休む」だけに限られない
介護休業や休暇と聞くと、「家族の介護をするために仕事を休む」というイメージがあるかもしれません。ですが、「仕事と介護を両立させるための体制を整える期間」としても位置付けられているのです。
これから大輔さんの父は、日常生活に何らかの手助けが必要な状態で長く生活することになると考えられます。その期間を伴走しながら、大輔さん自身が必要な収入を得て、社会とのつながりを保つために、こういった制度があるのです。
1.介護休業制度
介護が必要な家族1人について、通算して93日まで、3回を上限として分割して休業できる制度で、労働者から会社に申し出ることで利用できます。
また、介護休業期間中は、要件を満たせば雇用保険から休業前の賃金の67%が支給されます(介護休業給付金)。
2.介護休暇制度
介護が必要な家族1人につき、1年度に5日まで、対象家族が2人以上の場合は1年度に10日まで、介護休業や年次有給休暇とは別に1日単位または半日単位で休暇を取得でき、労働者から会社に申し出ることで利用できます。(令和3年1月1日からは、時間単位での取得が可能となりました。)
3.介護のための短時間勤務等の制度
事業主は以下のa~dのいずれかの制度(介護が必要な家族1人につき利用開始から3年間で2回以上の利用が可能な制度)を作らなければならないことになっています。
a 短時間勤務の制度:日単位、週単位、月単位などで勤務時間や勤務日数の短縮を行う制度です。
b フレックスタイム制度:3か月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各自の始業・終業時刻を自分で決めて働く制度です。
c 時差出勤の制度:1日の労働時間は変えずに、所定の始業時刻と終業時刻を早めたり、遅くしたりする制度です。
d 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度
4.介護のための所定外労働の制限(残業免除の制度)
介護終了まで利用できる残業免除の制度で、労働者から会社に申し出ることで利用できます。
※厚生労働省「介護保険制度について」より抜粋
特に介護休暇は時間単位でも取得できるようになり、役所や病院の手続き、介護保険サービスの手配など、こまごましたことに対応する際にも使えることが期待されています。介護そのものはできるだけ介護保険サービスなどの外部の力を借り、それが父や母の生活に良い結果をもたらすよう手配することが、大輔さんの「介護」における役割といえるでしょう。
子育てと違って、介護はいつどのようなことが必要になるかといった予測が立ちにくいものです。介護離職ゼロを目指した政策で「育児・介護休業法」が定められ、時代に合わせて改定されています。会社勤めをしている方の場合は、できるだけ最新の情報を得て、制度をうまく活用していくことが望ましいでしょう。