あらためて父の望む生活について聞いてみると…
同僚たちのアドバイスをもらって、大輔さんはいきなり介護保険の利用を決めるのではなく、父の望む生活をあらためて聞いてみることにしました。
院内のカフェでコーヒーを飲みながらしばらく黙っていると、自転車に乗れなくなったことや、入院してしばらくはオムツだったことが父にとってとてもショックで、もう歩けないのではないか、家に帰れないのではないかなど心配で気持ちが沈みがちなことなどをぽつりぽつりと打ち明けてくれました。
大輔さんはその間、じっと聞いていました。最後に父は、介護保険について周りの入院患者にも聞いてみたこと、申し訳ないが、家に帰れるのなら利用したいので、手続きを頼みたいと言ってくれました。
これから手続きが大変そうですが、これまでになく弱った父の顔を見ていると、大輔さんは自分がしっかりしなければという気持ちになりました。
そしてふと、自分が父の立場になったら、いったい誰が家から必要なものを持ってきてくれたり、退院の準備をしてくれたり、必要な手続きをしてくれるのだろう、と考えてしまうのでした。