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おひとりさまの経済状況

全国家計構造調査(2019年)によると、彩子さんと同じ50代女性単身世帯の金融資産残高(貯蓄現在高)はおよそ1100万円、60代で1400万円となっています。2人以上世帯(世帯主50代)はそれがおよそ1200万円、60代で2000万円となります。貯蓄から負債を引いた純金融資産額は、50代女性単身世帯でおよそ700万円、60代で1300万円。2人以上世帯(世帯主50代)はおよそ450万円、60代で1600万円。こう見ると、おひとりさまの方がやや経済的には余裕があるようです。

また、ひと月あたりの食費は、女性単身世帯が4万円前後で年齢によってはさほど変化がありません。2人以上の世帯では、50代から70代前半で8万円程度、75歳以降は7万円ほどになります。どちらの世帯でも、50代では食費は支出全体の2割くらいを占めていますが、交通費の割合が年齢の上昇に伴って減っていくに従い、食費の割合は3割ほどになっていきます。

単身世帯と2人以上世帯では、単身世帯の方が支出に住居費が占める割合が高い傾向(1.5割前後)にあります。2人以上世帯では1割以下です。2人以上世帯では住居費でも設備の修繕や維持に支出していますが、単身世帯では家賃地代の方にお金がかかることが多いようです。

少し面白いのは、交際費です。交際費は年齢に伴って上がっていき、50代女性単身世帯では月に8700円程度、その後もずっと1万円程度を支出しています。2人以上世帯では50代後半から70代前半までは1万3000円程度、それ以降も1万円程度となっています。男性の単身世帯では、統計のサンプル数等の影響もあるのかもしれませんが、50代前半と、60代後半から70代前半で1万円程度支出していますが、それ以外では6千円台になる年代もあります。現役時代と、退職前後では盛んにお付き合いがあるものの、その他の年代では女性ほどは人付き合いがないのが想像できます。

保健医療費は、女性単身世帯で50代から70代前半までがおよそ月に1万円、75歳から80代前半までがおよそ7千円、85歳以上で1万2000円となっています。医療費についていえば、75歳からは後期高齢者医療保険制度に組み込まれたり、高額療養費制度によって自己負担額が一定額以下に抑えられる仕組みがあるので、単純に2人以上世帯との比較はしませんでした。