自己チューな母親を前になすすべなく退散

般若のような顔で畳みかけるお母さんを前に、言葉を失いました。

自分の方こそ身勝手な論理を並べるスーパー自己チューぶりに「この親にしてこの子あり」だなと思いましたが、専業主婦歴30年の私が美容外科の先生を論破できるはずなどありません。不本意ながら、15分間ご高説を賜って退散しました。

私の報告を聞いたオーナーからは「嫌な思いをさせちゃってごめんね。まぁ、世の中、いろいろな人がいるってことよね」と慰労されました。その後も瞬太君は平然と子供食堂にやって来ました。そして、傍若無人な振る舞いも以前と何ら変わることはなかったのです。

突然姿を見せなくなった理由

しかし、新学期に入ると、その瞬太君がぱたりと姿を見せなくなりました。気になって同級生に探りを入れると、なんと、他の区に転校したというではないですか。

事情通の親御さんから、転校の理由はお母さんの再婚だという話を聞きました。再婚相手は、お母さんの勤務先の美容外科の院長でお母さんより10歳以上年上だとか。

「桑原さん、知りませんでした? あの2人、この界隈でよく飲み歩いていたんですよ。だから私たちは『子供は子供食堂に預けて婚活なんていいご身分よね』と噂してたんですけどね」

お酒を出す店に勤務するシングルマザーの親御さんが、こっそり教えてくれました。またもやあのお母さんのしたたかな一面を見せつけられたようで、苦々しい気持ちになりました。しかし、話はそれだけで終わらなかったのです。