アクティビストとの対立激化!株価はどうなる?

セブン&アイを巡っては、“物言う株主”として有名な「バリューアクト・キャピタル」との対立が話題を集めています。

バリューアクトは2021年5月にセブン&アイ株式の4.4%を取得し、祖業のイトーヨーカ堂や百貨店を分離してコンビニエンスストア事業や食品小売業へ集中するよう求めてきました。セブン&アイはこれらの提案について一定の同意を示し、そごう・西部の売却を公表します。しかしイトーヨーカ堂の分離には同意せず、同事業の継続を前提とした中期経営計画を公表しました。

スーパー事業の分離に踏み切らないことに業を煮やしたバリューアクトは、2023年4月にセブン&アイ株主に宛てた公開書簡で経営陣の退陣を求めます。これを機に両者ははっきりと対立するようになりました。セブン&アイ取締役会はこの提案に全会一致で反対し、バリューアクトも公開レターで「失望」を表明して応酬します。

経営陣の交代を求めたバリューアクトの提案は、2023年5月の株主総会で否決されました。しかしもともと4%ほどしか議決権を持たないバリューアクトにとって、これは想定の範囲内だと思われます。バリューアクトは目標達成するまでセブン&アイ株式を保有する姿勢を明らかにしており、今後もなんらかの提案を続けるかもしれません。

仮にセブン&アイがイトーヨーカ堂を手放した場合、株式は上昇するのでしょうか。同社のスーパーストア事業の営業利益率は約0.8%と、国内コンビニエンスストア事業(同26.1%)や海外コンビニエンスストア事業(同3.3%)と比べれば効率的とはいえません(2023年2月期) 。

スーパー事業を売却し、その資金をコンビニエンスストア事業へ投資すれば、確かに収益は改善しそうです。また、複数の事業を展開することで株価が割り引かれるとされる「コングロマリット・ディスカウント 」の解消にも期待できます。これらから、もしもイトーヨーカ堂を売却するようなことがあれば、セブン&アイ株式には短期的には上昇圧力が働きそうです。

先の株主総会では、経営陣の再任に賛成する割合が20ポイント以上低下したことも話題でした。バリューアクトが同様の提案を続ければ、今後は経営陣の刷新に賛成する株主が増えるかもしれません。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)