半導体関連銘柄への投資がかなう、投資信託やETFを紹介
話を半導体関連銘柄に戻そう。
半導体という括りは、「テーマ」よりも「業種」に近い。2009年設定の「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセットマネジメント)が、長い間、唯一の半導体関連ファンドとして存在していたが、今年3月、ニッセイアセットマネジメントが自社の「購入・換金手数料なし」インデックスシリーズラインナップに「<購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)」を追加した。同ファンドは、米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成される、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)への連動を目指す、公募投資信託初のファンドである。
また、ETFでは、同じくSOX指数への連動を目指す「グローバルX 半導体 ETF(2243)」が、今年4月、東証に上場した。運用を担うのは、テーマ型ETFのパイオニアであるGlobal X Japan株式会社で、同社は、2021年9月東証上場の「グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF(2644)」も展開している。
半導体関連銘柄は、「環境」や「ESG」などのテーマと比べると、対象企業が分かりやすく絞られている。ファンド間で組入れ銘柄の「かぶり」も多いため、まずは上記に挙げたインデックスファンドやETFを通じて代表的な銘柄を押さえておくとよい。
【米国株の例】
アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)、ブロードコム(AVGO)、クアルコム(QCOM)、インテル(INTC)、ASMLホールディング(ASML)
【日本株の例】
東京エレクトロン(8035)、レーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、信越化学工業(4063)、アドバンテスト(6857)
日本株の例として挙げた東京エレクトロン、レーザーテック、SCREENホールディングスは、株価水準の高い「値がさ株」の代表格でもある。現在は、ネット証券を中心に単元未満株のサービスも展開されているが、個別株で手を出しにくい銘柄にまとめて投資できるのは、投資信託の利点でもある。
なお、アクティブファンドでは、国内のテクノロジー関連企業を厳選して投資する、「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)」(フィデリティ投信)が、半導体関連銘柄を全体の20~30%程度組み入れている。同ファンドは、特化型運用※2を行うため、組入れ銘柄の値動きがよりダイレクトに基準価額に反映される。市場環境によって値動きが大きくなるという点には注意が必要だが、個別株投資を検討しているなら、ステップアップしていくための足掛かりとして活用してもよいだろう。
※2 投資対象に支配的な銘柄が存在する投資信託。通常は10%までに制限されている1発行体あたりの構成比率が、特化型では35%以内に緩和されている。
広く分散された株式インデックスファンドでコツコツと積立を行うことが長期資産形成の基本であることに異論はないが、現実として、目標リターンに合わせて商品を入れ替えたり、資産配分を変更したりする場面は、長期資産形成を行う過程でごく自然に訪れる。資産形成を行う期間が長期になればなるほど、外部環境の変化に合わせて、ライフプランを見直さざるを得ない場面が出てくるためだ。
新NISAでは、成長投資枠でインデックス以外の投資信託のほか、個別株投資も認められるようになる。「テーマ型はダメ」と決めつけるのではなく、今のうちに活用方法も含め、幅広く引き出しを増やしておくことをお勧めしたい。