世界的な金融緩和政策が転換の兆しをみせ、米国の利上げや日銀の出口政策にも注目が集まっています。この数年で揺らぐ金利大変動が移行期を迎えている今こそ、これらのポイントとなる“金利”の意義や仕組みについて改めて知っておきたいところです。

金利について学ぶことは金融の基本であり、金利を糸口にすれば経済を読み解けると説くのが金融アナリストの田渕直也氏。話題の書籍『教養としての「金利」』では、世界経済の新たな構造変化の土台となる金利の基本について解説。今回は本書冒頭の「はじめに」と第1章「金利とは何か」、第2章「金利の計算方法」の一部を特別に公開します。(全4回)

●第1回:無関心で済んだ時代は終わり…大人にとって「金利」が必須の教養になる理由

※本稿は、田渕直也著『教養としての「金利」』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

金利の3つの役割

すでに触れたとおり、金利はお金の借り賃である利息を計算するために使われます。これは、金利の最も基本的な用法といえるでしょう。しかし、金利にはほかにも重要な役割があります。

たとえば、銀行が誰かにお金を貸すかどうかを判断するときに重要な判断材料のひとつが、どのくらいの金利で貸すか、ということです。当たり前のことですが、銀行にとってはできるだけ高い金利で貸すほうがいいですよね。

金利が高ければそれだけ銀行の収益が増えるからです。つまり金利は、お金を貸す側にとっては収益性を判断する基準になるのです。

ここで簡単な数式を登場させましょう。数式をみると頭が痛くなる人は少なくないかもしれませんが、金利の理解にはどうしても最低限の計算が必要になります。とはいってもここに登場するものは極めて単純なものなので、とりあえずは安心してください。