結局、大切なのは「使い分ける」という考え方

以上、徹底的に比較してきたことをまとめてみると、

・まず、「対象年齢」と「年間投資上限枠」は、新NISAつみたて投資枠の勝ち
・そして、「非課税保有限度額」や「対象商品」は引き分け
・「税制メリット」はiDeCoが勝ち、でも、その分、iDeCoは「引出制限」がある、逆に言えば、つみたて投資枠は使い勝手がいい

そんな感じだと思います。

でも、こんなふうに比較してみると、新NISAのつみたて投資枠とiDeCoは同じ税制優遇のある資産形成制度だとは言え、それぞれ一長一短があることがお分かりいただけるでしょう。

そして、一長一短があるのであれば、使い方は人それぞれになりますが、その際、より大切になる観点は「使い分ける」ってことだと思います。最後に、この「使い分ける」ことに関して、私なりの考え方を申し上げます。

少し大仰な言い方ではあるのですが、「人生100年とはなんぞや」ということを考えてみました。よく言われるのは、長寿化、平均寿命が伸びているってことですよね。今や男性で81歳、女性で87歳、日本は世界でも有数の長寿国であり、人生100年とは言葉通り、人生の長さが伸びている、そういうことだと思います。

そして、もう1つ、よく、ライフスタイルが多様化しているってことも言われます。昔であれば、結婚して、子どもが生まれて、そして家を買って、そんなモデル世帯があったわけですが、今や結婚しない人が増え、一人暮らしの人も多くなり、家を買わない、そんな選択肢も普通にあるからです。言い換えれば、人生の長さだけでなく、幅も拡大している、それが人生100年ってことなんだと思います。

だとすれば、人生100年の長さと幅にどのように備えるのか、それぞれを分けて考えると、備え方も自ずと分かる、そんなふうに考えています。

まず長さ、これはライフスタイルが多様化している時代であっても、例えば、結婚しなくても、家を買わなくても、誰にでも必ず老後はやってくるわけですから、誰にとっても、老後資金準備が大切になる、ということです。そんなふうに考えれば、人生の長さに備えるには、iDeCoを活用すればいい、ということになるかと思います。

一方、人生の幅に備えるにはどうすればいいのか。ライフスタイルが多様化しているとは言え、あらゆる可能性に備えようとすると、それこそ、いくらお金があっても足りなくなりますよね。だから大事になるのは、土台を作る、という考え方。そして、この土台作りにぴったりなのが、いつでも引き出すことができて使い勝手がとてもいい、新NISAのつみたて投資枠だと思うのです。

ですから、人生100年の長さに備えるにはiDeCo、人生100年の幅に備えるには新NISAのつみたて投資枠、こんなふうに考えて使い分けるのが、私からのおススメです。

以上、私見ではございますが、新NISAのつみたて投資枠なのか、それとも、iDeCoなのかと、自分事として考えている皆さまが、頭を整理する上での一助となれば嬉しいですね。ご参考まで。