最近話題の岸田首相が掲げる「資産所得倍増プラン」、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の改革案が2022年末までに策定される、とのこと。20代の皆さまも、他人事(ひとごと)ではなく、自分事(じぶんごと)として注目してほしいですね。

先日、ちょうどタイミングよく、NISA利用状況に関するアンケート調査結果※1が公表されました。その調査結果をよく見ると、せっかくNISA口座を開設したのに利用していない人やNISA口座は不要だと考えている人もいるようですね。今回は前回とは逆に、NISAをやらない20代の皆さまのリアルを探り、少しお節介ながら私からのアドバイスを申し上げたいと思います。

※1 日本証券業協会、株式会社 日本取引所グループ「2021年度 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査報告書」(2022年6月)

20代でNISA口座を作っても使わないワケ

それでは早速、NISA口座を開設したのに、なぜ利用しないのか? その理由を確認してみましょう。全体としては「①買付のつもりはなく、金融機関に薦められて開設しただけだから」が最も多く、「②商品が多すぎて何を購入するべきか分からないから」、「③今後、投資を行う予定だが、まだ資金が貯まらないから」の順に続きます。

さらに世代別に比較すると、20代を含む若年層と高齢者層とでやらない理由が対照的なことに気付きます。

特に20代の皆さまの意見について、全世代とのギャップが一番大きいのが3つ目、「まだ資金が貯まらないから」。でも、20代が始めているのは「つみたてNISA」、少額から始められるので、みんな、預貯金代わりにお金を貯めるために利用している、そんなことを改めてお伝えしたいですね。

次にギャップがあるのが2つ目、「商品が多くて選べない」。これは20代がNISA口座を作っても使わない、最大の理由でもあります。

ここでお伝えしたいのは、「つみたてNISA」の対象商品は金融庁が定めた「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」だと言うこと。今年4月で213本ですから、日本で購入できる投資信託の約6000本と比べると、「つみたてNISA」を利用する時点で1/30まで厳選されていることが分かります。言わば、金融庁のお墨付きというわけですが、厳選ファンドならどれでもいい、というのは少し乱暴なので、実際にどんな商品が選ばれているのか、バランスファンド(90本)とインデックス投信(93本)で売れ筋商品を投資先で分類してみました。

※2 金融庁、運用各社のHPを基に筆者が集計

バランスファンドなら4指数か8指数、インデックス投信なら米国株を選ぶか、少し広げて先進国株、もっと広げて世界株、そんな感じまで絞り込みができます。これくらいで「商品が多くて選べない」が解消されるといいのですが、どうでしょうかね?

そして、最後に1つ目の「薦められただけ」。これは私への自戒も込めて、金融機関の皆さんにも申し上げたいですね。せっかく、お客さまが証券投資において一番ハードルの高い口座開設という山を越えてくれたのですから、「つみたてNISA」ならもう一押しでも、二押しでもお節介になっていい、そんなふうに思います(笑)。