2022年のマーケット変動は、米国株式と米国債券が揃って2ケタのマイナスパフォーマンスになるという、「逃げ場がない」といわれた厳しい環境になった。2008年の「リーマン・ショック」を経験した世代は、現在は30代半ば以降になっている。30代以下の若手販売員の多くは、「100年に1度」といわれた「リーマン・ショック」を経験していないことになる。アンケートの結果から読み取れるのは、過去10年以上にわたって続いてきた株式投資優位の運用環境が急変してしまったことに対する若手の戸惑いではないだろうか。ベテランになると2000年の「ITバブル」とその崩壊、そして、「リーマン・ショック」、さらには、2020年の「コロナ・ショック」と過去20年余りに起こった大きな市場変動の波を経験している。運用商品の説明能力の向上には、経験が必要ということだろう。

運用会社のサポート力強化には一定評価

一方、「研修・セミナー(対面・オンライン)の質が高い」は若手が21年の61.1%から22年は67.2%、ベテランが21年の67.1%から22年は70.8%。同様に「販売用資料が優れている」は、若手が58.8%から63.2%、ベテランは54.0%から60.0%、「Webでの情報発信に優れている」は若手が33.6%から39.2%、ベテランが32.9%から35.7%など、運用会社が努めてきたサポート力の向上についての努力は、販売会社の評価向上という結果に結びついているように考えられる。販売会社の間では対面の販売と同時に、オンラインによる投信販売の強化は課題であり、販売用資料やそれらを活用したWebでの情報発信について運用会社のサポートが得られることは好都合だろう。

今回の調査では運用会社のサポートについて概ね評価が上がったものの「研修・セミナーのラインアップが幅広し」という項目のみは、若手・ベテランの別なく評価ポイントを下げた。特に、ベテランの回答は、21年の30.4%が22年には24.9%に落ちた。これは、販売会社の販売姿勢が「ゴールベース・アプローチ」(運用目的に適った運用アドバイスの提供)に集約されつつある中、それ以外のサポートは必要ないというシグナルなのか、それともセミナー等のラインアップが豊富な大手運用会社への評価が下がっているということなのか、今回の結果だけでは判然としない。今後の傾向の変化に注目していきたい。