販売会社の若手とベテラン層の間には、運用会社の「商品開発・企画力」に期待するポイントに違いがあるものの、トレンドより「運用コストの低減」を求めるニーズが世代を問わず強くなっていることが分かった。金融リテール専門誌『Ma-Do』が実施した「運用会社ブランドインテグレーション評価2022」で、30代以下の若手と40代以上のベテランが運用会社に期待する「商品開発・企画力」についての回答内容を分析した。「商品開発・企画力」の評価で軸になっている「先見性が感じられる商品開発」については、年代の別なく評価ポイントが高かったが、2021年と2022年を比べると「商品のコストとリターンの整合性」に対する評価ポイントが上がり、反対に、「トレンドに適合する商品」への評価は若手が評価を大幅に下げている。投信の運用成果が出難い2022年の市場を前に、特に、若手の間で「トレンドより、運用コストが低い商品を出してほしい」という思いが強まったのかもしれない。
「運用会社ブランドインテグレーション評価」は、投信販売会社が運用会社を評価する調査で、運用会社について「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「ブランド力」「ガバナンス」の6つの軸で評価してもらい、得点順にランキングした。2022年調査は9月~10月にWEBで実施し、国内外の運用会社36社を評価の対象とし、310件の回答を得た。回答者の年齢構成は、20代と30代が合わせて40.3%、40代以上で59.7%だった。
若手の間で「トレンド」離れ
新しく出てくる商品が「トレンドに適合しているか」というのは、すなわち、「売れ筋商品か」ということであり、販売員にとっては販売成績に直接かかわる重要な要素といえる。特に、経験の浅い若手層にとっては、「多くのお客様が購入している商品」というのは販売しやすいのだろう。ところが、22年の調査結果では「トレンドに適合する商品を提供している」という評価項目が、30代以下の若手では21年の49.6%が22年は38.4%に急低下した。これは、同項目に対する40代以上のベテランの回答が21年の37.9%から22年は36.8%と横ばいだったことと対照的だ。22年の相場は米国をはじめ世界株が低迷したこともあって、21年のように「米国株さえ勧めておけば間違いない」という状況が一変したからだろう。また、株式市場が低迷すると同時に債券市場も中央銀行の利上げによって大きく崩れた。このため、「もはやトレンドだけで商品を勧めることに意味がない」という状況になったと考えられる。