一方、「商品のコストとリターンの整合性がある」という評価項目は、若手の評価が21年の51.1%から22年は64.0%に上がり、ベテランも21年の60.2%が22年は67.0%にまで高まっている。これは、運用環境が厳しい中で、リターンが期待できる商品を開発することは難しいだろうから、せめてコストの面で納得感の高い商品を提供してほしいという気持ちの表れと解釈することができる。この結果、ベテランの評価は、「先見性が感じられる商品開発」(22年は66.5%)を抜いて、「商品のコストとリターンの整合性がある」が最も重視する評価項目になった。
「外部委託の選定力」には年代差
「商品ラインナップが豊富」という運用会社の商品開発力の総合力を評価する項目は、若手が21年の30.5%から22年は27.2%にやや低下したものの、ベテランは21年の25.5%から22年は29.7%に上がっている。運用環境が厳しくなると、ベテランになるほど、過去の経験を振り返り、難しい運用局面においてもそれを打開するような商品を開発してきた運用会社の開発力に期待する気持ちが出てくるのかもしれない。
また、「外部委託先の選定力」についても、若手とベテランの回答の傾向が逆になった。若手の回答率は21年の9.9%が22年は5.6%に落ちているが、ベテランでは21年の6.8%が22年は10.3%に上がった。外部委託先に運用を委託するのは、主として外国の株式や債券等のリスク商品に投資するファンドの開発においてだ。22年は急速に進んだ円安によって、海外債券などの運用では円安メリットによって一定水準のリターンを確保できたものもある。国内資産に比べて、より広い運用商品や運用手法が活用できるという点では、市場環境が難しくなるほど、外部委託先との連携は重要になる。この点では、様々な市場変化を経験してきたベテランの間で、運用の工夫による運用商品の開発への期待は高いといえる。これは、運用会社の商品開発・企画力への信頼があることの表れと考えられる。