木下舞さん(仮名、22歳)はこの春大学を卒業してギャラリーに就職しましたが、在学中は大変な苦学生でした。母子家庭に育ち、生活費を稼ぐため学業の合間にバイトを3つ掛け持ち。しかし、コロナ禍でバイト先が休業したことで生活が困窮、家賃も払えなくなり、友人宅に転がり込んで1日1食という生活に。

そんなとき、SNSで連日ゴージャスな生活の様子を投稿する同世代の女子大生「マリンちゃん」に心が引かれます。憧れや現実逃避の気持ちからフォロワーになり時々コメントしていたところ、ある日、本人からDMが。「稼いでる子がいっぱいいる投資に興味ない?」。貧乏生活から脱出したい木下さんは、詳しい話を聞くため面会することにしました。

そこにはスーツ姿のイケメンがおり、にわかには信じられないような「おいしい話」に誘われます。その場で契約を迫られ、いったん持ち帰った木下さんは学生ローンを借りて資金を用意しようか悩み……。

●前編:「高級タワマンで連日パーティー」セレブ女子大生の“戦慄”の正体

「典型的なモノなしマルチ商法」専門家の言葉に体が震える

暗号資産の投資話を持ち掛けられた際、「専門家に相談してから決めた方がいい」と当時間借りしていた友人の凛花に連れていかれたのが、あるNPOの事務局でした。聞けば「金融教育」の普及を目指すNPOで、事務局長はファイナンシャルプランナー(FP)の赤井さん。スタッフは若手のFPや経済学部の学生が合計10人ほどで、事務局は赤井さんの事務所に置かれていました。当時の私は金融教育が何たるかも知らないド素人でしたが、事務局では、学生のスタッフが株式投資のシミュレーションで盛り上がっていて、楽しそうだなと思いました。