振り込め詐欺やマルチ商法など、投資の詐欺事件は後を絶ちません。「私もだまされてローンを組むところでした」と神妙な顔つきで話すのは木下舞さん(仮名)。今春からギャラリーに就職し好きな美術史の勉強のため米国留学を目指す木下さんですが、大学時代に実態や仕組みが不透明な「モノなしマルチ商法」の勧誘を受け、危うくそれに乗ってしまうところだったと言います。

木下さんがだまされそうになったのは暗号資産詐欺。SNSでフォロワーになったセレブな女子大生から「投資に興味ない?」というDMが届き、「興味あります」と返信すると紹介されたのがそのマルチ商法でした。「暗号資産に投資すれば毎月3割、4割の配当が振り込まれる」というセールストークに心が動き、学生ローンでお金を借りることを考え始めた木下さんを思いとどまらせたのが、友人に紹介されたある専門家。「その人との出会いで、人生観が変わりました」という木下さんに、当時を振り返ってもらいました。

〈木下舞さんプロフィール〉
東京都在住
22歳
女性
会社員(ギャラリー勤務)
未婚1人暮らし
金融資産50万円

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母子家庭の私は、奨学金で大学の史学科に通っていました。生活費を稼ぐために3つのバイトを掛け持ちしましたが、コロナ禍で2つのバイト先が休業して生活が困窮。ついには家賃も払えなくなって友人のマンションに転がり込み、大学の食料支援などを受けながら1日1食でどうにか暮らしていました。