熟年離婚で注意すべきこと

離婚後に標準報酬改定請求をすることで実際の年金分割が行われることになります。分割後はたとえ復縁しても分割は取消しできません。

そして、分割された記録で将来の報酬比例部分の年金額が計算されます。若い人が離婚して年金分割を受けたとしても、老齢厚生年金を受け取るのは何十年と先の将来。今すぐに何かが起こるわけではありません。

一方、すでに60代で老齢厚生年金を受けている人が年金分割を受けると、標準報酬改定請求を行った月の翌月分から分割後の年金として反映されます。つまり、離婚して分割を受けたい場合は離婚後なるべく早く手続きをする必要があり、標準報酬改定請求が1カ月遅れるごとに、その分受けられるはずだった分割後の年金が受けられないことになります。

なお、老齢基礎年金への振替加算の対象となる人が自ら加入した厚生年金被保険者期間の他、婚姻期間で厚生年金未加入中(第3後被保険者期間中など)について分割を受けた期間も合わせて20年以上となると、その振替加算は加算されなくなります。1966年4月1日以前生まれの人を対象とした振替加算ですが、この場合、分割によって老齢厚生年金が増える一方、振替加算分の年金が減ることに繋がりますので、その点も確認しておきたいところです。生年月日が早い人ほど振替加算の加算額が多くなりますので、対象となる人は注意が必要です。

●年金分割を受けた期間を含めると厚生年金被保険者期間が20年以上となった場合

 

※ 振替加算は本人(※1966年4月1日以前生まれ)の厚生年金被保険者期間が20年未満、その配偶者の厚生年金被保険者期間が20年以上であることが加算条件。

※ 厚生年金被保険者期間が20年未満の場合は、分割前は①②③で受給し、年金分割で20年以上とみなされた後は①③④で受給することになります。

離婚を考えたら、まず「年金分割のための情報通知書」を

合意分割の対象となる人は年金事務所等で情報提供請求をすると、分割請求となる期間、対象期間の標準報酬総額(夫婦2人の標準報酬月額や標準賞与額の合計)、按分割合の範囲などを記した「年金分割のための情報通知書」を受け取ることができます。50歳以上で分割をする場合は、希望すれば、分割後の記録に基づいた将来の年金の見込額も計算されることになっています。

離婚前でも配偶者の同意がなくても情報提供請求はできます。離婚予定の人は情報提供でまずは将来の年金について確認してみるとよろしいのではないでしょうか。