もはや第3号被保険者は減少の一途…

ここでデータを見ますと、第3号被保険者がいかに減少傾向にあるかよく分かると思います。

●第3号被保険者の数

出所:厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業の概況』(平成27年度版~令和2年度版をもとに作成

社会保険の適用拡大(2016年10月)前の2015年度末ではまだ900万人を超えていましたが、2016年度末で900万人を切りました。そして、2016年度末が889万人(そのうち女性は878万人)だったのに対し、2020年度末で793万人(そのうち女性は781万人)まで減少しています。わずか2016年度末から2020年度末までの4年間でも100万人程度減少していることになります。2022年10月、2024年10月の企業規模要件(先述のBの(1))の改正もあって今後さらに減少することが予想されます。

つまり、「不公平」の批判があるからと廃止しなくても、その数はこのまま自然減の方向へと向かっていく可能性は高いということです。

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第3号被保険者制度は、36年以上も前に専業主婦の年金の権利を守るために作られましたが、時代とともに女性を取り巻く環境が大きく変わりました。それによって、立場によっては第3号被保険者制度に不公平感を抱く人がいたり、逆に「第3号被保険者廃止!?」と聞くと不安を感じる人がいたりと、この制度に対する意見も多様化(時に対立)してきたと言えます。

いずれにせよ、第3号被保険者制度そのものが廃止に至っていないなか、まず第1~3号被保険者として国民年金に加入義務があり、そのうえで老後準備を考える必要があることに変わりはありません。そして、将来の保障を厚くするための選択肢として、扶養を外れて働くことも1つですし、私的年金(iDeCoなど)を活用するのも有効な手段となるでしょう。