制度改正によって、第3号被保険者の範囲がだんだん狭くなっている

こうしたムードに呼応してか、「第3号被保険者制度は廃止に!?」と、さも廃止が既定路線かと思わせるようなネットの情報もあるようです。しかし、現時点で第3号被保険者制度が廃止されるとは決まっていません。

ただ、前回の第7回(年収「106万円の壁」—壁を超える vs 超えない、結局安心なのはどちらか)で取り上げたとおり、制度改革により、社会保険の適用拡大が進められており、扶養を外れ、厚生年金加入となる人(第3号被保険者から第2号被保険者に変わる人)の対象範囲が広がっている現実はあります。

●厚生年金加入対象者

AまたはBに該当した場合に加入

A.常時雇用者あるいはその4分の3以上の勤務時間かつ勤務日数で厚生年金の適用事業所(企業等)に勤務する人

B.Aに該当しない場合で下記(1)~(5)を全て満たした人

 

※1 従業員数は勤務日数・勤務時間4分の3以上の要件を満たした厚生年金被保険者の数。
※2 2017年4月以降は、事業所の規模要件にかかわらず、労使合意のある場合や、国・地方公共団体の事業所も対象。

2016年10月に上記枠内Bの要件が加わることになり、Aに該当しなくても、週20時間勤務でも加入対象となる場合があります。また、自身の年収が130万円未満であることが第3号被保険者の要件とされていますが、Bの要件を満たしている人の年収要件は(4)のとおり106万円以上のため、たとえ130万円未満の人でも扶養から外れ厚生年金加入の対象となりえます(そのため“106万円の壁”という言葉も昨今、よく聞かれるようになりました。詳細は第7回をご覧ください)。

Bの(1)の従業員数についても段階的に改正がされ、2024年10月には101人以上が51人以上へ改正されることになっています。こうした適用拡大を機に扶養から外れて厚生年金に加入することも多いことでしょう。