退職金の支払いに好待遇の再就職先まで!?
電話をしたその日の夕方に藤代さんの事務所で落ち合うことになり、そこで、これまでの経緯を一切合切打ち明けました。藤代さんは私の話にじっと耳を傾け、幾つか疑問点を確認した後、こんな言葉をかけてくれました。
「それは悔しい思いをされたことでしょう。しかし、宮田さんに何一つ非はありません。むしろ、今回のことは不当解雇に当たる可能性があります。宮田さんからは言いにくいでしょうから、私が社長に直接話をします」
その言葉通り、藤代さんはすぐに動いてくれました。解雇に至る過程やこれまでの処遇の問題点を指摘し、慰謝料込みの退職金の支払いを社長に了承させたのです。雇用保険に加入しておらず失業給付も受けられない状況だったので、当面の生活資金が確保できたことに安堵しました。
それからは本格的な職探しです。コロナ禍の人手不足で臨時雇いやアルバイト、パートといった求人なら少なくないのですが、藤代さんには「社会保障のことを考えて正社員の仕事を探しましょう」と助言されました。ハローワークでなかなか思うような求人がないと話すと、藤代さんは地域の社会保険労務士のネットワークを活用して、求人のある会社を紹介してくれたりもしました。
3カ月後、藤代さんが親しくしている社会保険労務士さんの顧問先の介護会社に、正社員として採用してもらえることになりました。仕事は介護施設の事務、勤務時間は9時5時で完全週休2日制、手取り月収も前の職場より3万円近く上がるという願ってもない好待遇です。それまでに応募した会社の数はゆうに30社を超えていました。採用の連絡があったことを知らせると、藤代さんはわがことのように喜んでくれました。
しかし、お金の専門家である藤代さんの“本領発揮”はむしろそれからでした。