収入は頭打ち、立ちはだかった「106万円の壁」
私の勤務先の食品加工会社はコロナ不況でこの2年間昇給がなく、一昨年の冬以降はボーナスも「一時金」として数万円が支給される程度です。にもかかわらず、ここにきてのインフレで電気代や食費、雑費などが跳ね上がり、にっちもさっちもいかなくなりました。息子もわが家の窮状を理解してアルバイトを掛け持ちしていますが、大学の授業についていくのが精一杯で、今以上に収入を増やすのは難しいようです。
私の収入が頭打ちで、光熱費や食費の節約にも限界があることから、夫婦で相談した結果、赤字の2万円分、妻がパートで働く時間を増やしたらどうかという話になりました。しかし、ここでも1つ問題が生じました。
妻は息子が高校に入学したタイミングで近くのスーパーで品出しやレジ打ちのパートを始めたのですが、現在も年収を所得税がかからない「103万円」以内に抑えて働いています。従って、収入を増やすとその分が所得税の課税対象になるのに加え、今年の10月からは妻の勤務先で週の労働時間が20時間以上、かつ月収が8万8000円以上のパートは社会保険への加入が義務付けられたのです。テレビのニュースなどで報道されていた「106万円の壁」です。
そのため、仮に週に5時間ほど労働時間を増やして年収128万円を目指したとしても、手取り月収は現在の8万5000円から5000円ほどしか増えません。この試算結果を見た妻は、「何それ? 完全に“働き損”じゃない!」と一気にやる気がうせたようです。