将来確実に必要になることは分かっているのに、いつ誰にどうやって何を頼んでおいたらいいか分からない、というギャップに着目し、終活支援をサービスにする企業が複数出てきています。

例えば、日本郵便の「終活紹介サービス」、イオンライフの「イオンライフの終活」、ライフフォワードの「みんなが選んだ終活」などが挙げられます。これらは消費者の要望を相談によって整理し、提携している事業者とつなぐコンシェルジュ的なサービスです。終活といってもさまざまな要素を含んでおり、消費者側は何をどこから始めたらいいか分からずにいる点、ソリューションを提供するのが小規模かつローカルな事業者であることが多く、消費者が直接選ぶのが難しい点をカバーすることを狙ったものといえます。自治体がこういった事業者と提携し、住民から終活の相談が寄せられた際には対応を依頼するケースも少しずつ出てきています。

また、心身機能が弱ってきて、自分に必要な生活上の手配ができない人が増えるということは、権利擁護の観点からも課題とされています。これまで何度かこの連載で触れてきた成年後見制度の普及だけでなく、国は「新しい権利擁護」として、簡単な金銭管理や意思決定支援を提供できる体制を整備しようとしています。民間事業者によるサービスが充実してくるとともに、国や自治体も、家族が手助けできないことを前提として、高齢期の生活をどのように守れるかという課題に取り組みつつあります。