投資の勉強はネットで。ただし、情報の選別には慎重

それまで投資の勉強はしたことがなかったが、早速、情報収集を始めた。主な素材はYouTube、時々Twitterと、このへんは今の30代らしい情報収集スタイル。しかし、ネットの情報には怪しいものも多い。どうやって、見分けているのだろうか。

佐藤さんの判断基準は、自分の投資スタイルを明確にしている人。また、年齢別のおすすめポートフォリオなどを公開している人の情報も、信ぴょう性が高いという。さらに、最も信頼しているのが、「節約法や稼ぐ方法なども一緒に公開している人」なのだという。

「資産って投資だけで増やせるものではないですよね。稼ぐ・節約・貯めるがないと積みあがっていきません。それをしっかり情報配信している人を、私は信頼できる人として見ています。例えば『投資で1千万円資産形成しました』と言っても、そのうち800万円くらいは自己資金だったりするわけじゃないですか?  当然、過剰に煽ったタイトルをつけているような動画は要注意です」

米国株の強さに惹かれ、NISA枠でETFを購入

「たまたま最初に調べたのが一般NISAだったので、自己資金50万円から一般NISA枠で投資をスタートしました。ネット証券でノーロードの全世界株のインデックス投信と、日本企業の個別株をいくつか購入しました」

その後、米国株に強い魅力を感じる。しかし、米国株は一株単価が高く、資金力のない自分が個別銘柄を上手く運用するのは難しい。調べているうちにETFの存在を知り、米国企業全体をカバーするETF、VTI (Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF)にたどり着いた。

「GAFAMを主要銘柄として、米国株に集中投資できると思い選びました」と佐藤さん。年齢的にまだリスクが取れると感じ、効率的に株に投資できるETFを選んだという。

2022年現在はNISA枠の120万円を年明けに一括、さらに毎月8万円近くをVTIに投資。iDeCoもやっており、限度額いっぱい(会社員の上限23000円)でS&P500連動型米国株式の投資信託を買っている。全世界株式は少量持っていてもバランスがよくないと感じ、2021年に手じまいをした。また、日本株もしばらく持ってから売却し、今は米国株に集中投資している形だ。

資産を着実にドルで形成。しかし、思わぬ事態に…

2022年の始めまでは、佐藤さんは順調に老後資産を積み上げてきた。ところが、年初来の米国株価暴落で損失が拡大。さらに極端な円安となり、老後資産をドルで積み立てていた佐藤さんに危機が訪れる。「このままでは一般NISA枠の元本割れリスクも」。心配になった佐藤さんだったが…。


●年初来からの下落にショック!…それでも彼女が「米国株」にこだわる理由
後編へ続く

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。