米国株オンリーで老後資産を積み立ててきた佐藤奈々子さん(現在39歳)。米株の好調により着実に資産を積み増してきたが、今年に入って利上げ政策やウクライナ危機の影響で、米国株は下落。極端な円安もあり、資産の含み損がふくらんでしまった。不安は募るが…。

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キャッシュをしっかりキープしつつ暴落相場を耐える

大きな下げ幅を記録した米国株。2年間、NISAも使ってVTI、iDeCoでS&P500連動の投資信託を買ってきた佐藤さんには大きな痛手だった。ポジション調整も検討し、迷いに迷った佐藤さん。しかし情報収集をもとに考えた末に、信じた米国株に投資し続けることに決めた。

「調べてみると、弱気相場は平均11カ月、最長30カ月。利上げ時期から見てS&P500の平均リターンが見込めるのは2024年後半から2025年頭との見方があります。少なくとも2022年はグズつくと思いますが、15年、20年のサイクルで見れば株値は上昇していくはずなので、定額買いを継続することにしました」

その代わり、キャッシュの大切さも痛感。たまたま昨年から始めた副業での収入は一切使わずにしっかり現金でホールドすることに。ETFの分配金も投資の書籍を買うなど自己研鑽に使い、FPの資格取得の勉強も始めた。「暴落相場では資産を売らずに生活するのが鉄則」と、今は労働と節約に励んでいるという。

「なぜ米国にこだわるのかというと、先進国の中で唯一、人口が増え続けているからです。ほかの先進国も成長はすると思いますが、それなら米国も成長するはず。人によってリスクは様々ですが、私は『米国』というリスクを取ったんです」

今の30代は公的年金だけではとても足りない! まずは2000万円を積み上げたい

佐藤さんが今までに投資した金額は2年で約500万円。60歳からは退職金代わりにiDeCoの一時金受け取りをして、生活費不足分は資産から取り崩し、75歳からの年金受給を考えているという。人生のイベントがあればまた再検討するが、現在の所、60歳までの長期投資・長期保有を考えている。

「目標利回りを4%に設定して60歳まで運用を続け、できるだけ公的年金受給を延ばす計算です。前倒し受給なんてとんでもない! まずは2000万円を目標にして、最終的には運用しながら取り崩すと減らないラインがあるので、それくらいまではがんばるつもり」という。

ところで、月10万円(前編参照)の投資はかなり高額だ。投資費用はどうやって捻出しているのだろうか。
「スマホは格安SIMにして、スポーツジムも退会し家でダンベルやバランスボールを使っています。まつエク、ネイル、カラコンはやめ、スキンケア中心に。1人の時の食費も節約しますが、逆に友達との食事はケチらずメリハリをつけます。労働が資本なので整体や歯科通いなど健康への投資は惜しみません」

さらに、投資の勉強についても、必要なら有料セミナーなどに参加しているという。
「今の1万円は、20年後には利回り5%で約28000円になるので、それを意識すれば今お金を使うかどうかの指針になると思います」