担当者は正しい情報収集と適切な対応を 

このように、現行の定めと比較すると、より企業型DC加入者にとっては自己判断によってiDeCoの併用がしやすくなりますので、改正後の併用率は大幅に増加することが予想されています。

しかしこうした法改正に対して、事業主や運営管理機関、記録関連運営管理機関は、現在対応に奔走しています。企業型と個人型、同じDCであっても、運営・管轄は異なります。特に事業会社のDC担当者の皆さんは、社内規定の改定や、運営管理機関との折衝、全従業員への通知、拠出金の修正対応など、実務レベルで非常に多くの事への対応を迫られています。

一番大切なことは、改正が施行される当日、確実に体制が整っていることです。様々なメディアにおいて、今回の法改正に関する内容は記載されていますが、改正に伴う当事者の対応方法について具体的に明記されているものはほとんどありません。DC担当者の皆さんは、現在取引のある運営管理機関や、DCに対する専門的知識・実績のあるNPO法人や、民間サービスにお問い合わせいただき、然るべき対応を迅速に行うことをお薦めします。

今後もさらに広がる個人の資産運用 

今年、段階的に実施されている法改正ですが、今回お話しした10月の改正の内容でおわかりのように、皆さん個人で自己資産を運用し、資産を増やす手段の幅が広がります。今後の改正ではiDeCoの拠出限度額の変更など、さらなる個人資産運用を加速させる改正が控えています。

DCは資産運用の中でも、比較的始めやすい運用であると思います。現在も続く社会情勢の不安定さやインフレによる物価上昇、現政権における国の方針など、皆さんの生活を支える大切なお金の在り方について、日本全体が考える時に来ています。

私のコラムをお読みいただいている皆さんにはすでにご理解いただいていると思いますが、DC運用は他人が何とかしてくれるものではなく、あくまで運用する皆さん一人ひとりが判断・決定・運用するものです。ご自身の収支をしっかりと把握し、ご自身の人生設計を計画的に設計した上で、DC運用を通じて老後の生活を豊かにする事への自覚を若い方にも是非お持ちいただき、ご自身に見合った最適な資産運用が行える事を願っています。