加入者により運用メリットを ─ 現行の弊害が大幅に低減 ─ 

まず、10月改正の一番のポイントは、読んで字の如く企業型DCを運用している加入者がiDeCoを併用加入することが非常に容易になるということです。実際現行の法制度でも、企業型DC加入者はiDeCo併用ができます。しかし併用するためにはいくつか条件が設定されており、運用初心者である加入者の理解はもちろん、事業主である企業が有効活用しきれていなかったのが実情です。

有効活用されていない、事実上弊害となっていたポイントを簡単に挙げます。1つは現行では企業型DC加入者がiDeCoを併用する場合、所属する企業において労使合意に基づいた規約の定めが必須である事。また、事業主が拠出する掛金の上限を引き下げた企業に所属する従業員(加入者)のみが併用可能でした。そのため、iDeCoに魅力を感じた加入者が、自分の年金をより多く増やしたいと思っても、所属する企業側がこうした条件を満たしていなければ実現できません。こうした現行に対して、今回の改正では次の通り条件が緩和されることになります。

現状、所属する企業において労使合意に基づいた規約の定めがある事とされていた箇所は、規約等の定めを不要とする事に変更されます。これにより、より多くの企業型DC加入者がiDeCoを併用できるようになります。

ただし、次の条件に該当する加入者の方は、本緩和を享受できません。
①現在所属する企業でご自身がマッチング拠出を採用されている場合はiDeCoに加入することはできない
②企業型事業主掛金が各月拠出となっていない(年単位での一括拠出を採用)企業に所属する加入者はiDeCoに加入することはできない

また、現行においてもうひとつ弊害となっている、事業主が拠出する掛金の上限を引き下げた企業に所属する従業員(加入者)のみが併用可能対象者となる点については、加入者は事業主掛金の上限引き下げがなくても、全体の拠出限度額から事業主掛金を差し引いた残余の範囲内でiDeCoを併用できるようになります。

なお、こちらの緩和についても諸条件は存在します。『規約等の定めが不要』については、併用を希望する加入者と事業主掛金額の合計が5万5千円を超える拠出はできません。

現在企業型DC加入者の皆さんのうち、iDeCo併用を検討される際は、企業のDC担当者に上記2点が自分に該当するかどうかの確認をしてください。