年金を将来受け取ることを前提に備えを

若い時はあまり年金の受給を意識しないかもしれません。しかし、毎年の受給額は少子高齢化によって、たとえ抑制されることはあっても、制度が破綻しないような仕組みが設けられています。

やみくもに「年金なんてもらえない」と嘆くのではなく、「受給する時は来る」そして「老後生活の収入のベースは年金である」と意識して、老後の資産設計を考えておく必要があります。

超高齢社会とは、それだけ平均寿命が長くなることを指します。60歳から65歳へ年金の支給開始年齢は引き上げられつつありますが、ますます延びる平均寿命で、長生きリスクはさらに高まり、年金の受給期間自体も長くなるでしょう。

前回「一家の大黒柱が早世」「けがで働けない」をもカバー! 実はあなどれない年金の“機能”取り上げたように、たとえ何歳まで生きたとしても“終身”で受けられる公的年金の老齢年金は長生きリスクへの大きな保険となります。老齢年金は繰下げ受給をして年金を増額させる方法もあり、受給の開始時期も75歳まで選択可能と柔軟な制度になっています。「給付額が少なくなりそう」と感じるのであれば、就労と年金加入期間の延長、繰下げ受給の増額も視野に入れてみるとよいでしょう。「公的年金はあてにならない」と切り捨てるのではなく、貯蓄・私的年金といった自助努力による資金に加え、老後資金のベースとなる公的年金も含めて考えることが大切と言えます。

他方で、こちらも前回取り上げたとおり、公的年金には障害年金や遺族年金もあります。年金の受給は30年後、40年後など遠い将来のこととは限らず、急に来ることもあります。年金制度が破綻する確率よりはこちらの確率のほうが高いはずです。若い時からしっかり年金を掛けているほうが、いざという時に受給できる年金の種類が多くなったり、受給額が多くなったりします。

以上のように、年金の受給についてまだなじみのない若い人も、今後の年金の財政状況や、年金財政に影響を与える経済成長、年金制度改正などにも注目しながら長期的に見通しを立てて備えてみましょう。