年金不信の元凶の1つ、「年金記録問題」はなぜ起きたのか

個々人の年金の受給額は、過去にどれだけ被保険者として加入し、保険料を払ってきたかで決まってきます。その加入や納付の記録こそが年金記録で、年金記録に基づいて受給額が計算されることになっています。

25年前の1997年1月に基礎年金番号制度が導入されました。それまでは国民年金、厚生年金それぞれの別々の記号(4桁)・番号(6桁)で管理されていたり、転職によって記号・番号が変わったりしていたところ、基礎年金番号という1人1つの10桁(4桁+6桁)の年金番号で年金記録を管理することになりました。

ところが、基礎年金番号でもって個々人の全ての年金記録が管理されているはずのところ、2007年5月に、基礎年金番号に統合されていない年金記録(持ち主不明の年金記録)が約5095万件もあることが発覚しました。

紙の台帳で管理された記録のコンピュータへの転記でのミス(氏名、生年月日の誤入力、入力漏れ)が残ったままであったこと、記録の誤りや漏れを減らす取り組みがされていなかったことなどが原因となっており、これまで年金制度への加入や保険料納付についてしっかりした管理がされていなかったことが明らかになりました。年金行政を担当する当時の社会保険庁に対しては、それまでにもすでに不祥事などによって批判がされていましたが、この5000万件以上の宙に浮いた年金記録の発覚がさらに年金不信を生み出すこととなりました。

自分の年金記録が管理されていないとなると、年金が受けられなくなるのではないかと不安になるのも当然のことでしょう。