それでも永久に解明できない記録もある
様々な不祥事や年金記録問題などから社会保険庁は解体され、2010年1月からは非公務員型の日本年金機構が年金の運営業務を行うことになり、現在に至っています。年金記録問題が明らかになって以降、引き続き年金記録の確認、調査、統合は進められていますが、それでも宙に浮いたままの記録が残ってしまっている状況です。
先述のとおり、約3301万件の記録は解明されていますが、約1794万件の記録が「解明作業中またはなお解明が必要な記録」となっており、前年度(2019年度)と比べ約29万件減少しているとはいえ、依然として多くが残っています(日本年金機構「アニュアルレポート2020」より)。年金記録問題発覚からしばらくの間は記録の解明が進んでいましたが、時とともにその件数は減りつつある状況で、解明されていないまま残り続けている記録があると言えます。
本人の死後に、その遺族によって本人の記録が判明した場合は、その記録の分の年金、つまり「もらい忘れの年金」は代わりに遺族が受け取ることになりますし、遺族を対象とした遺族年金の額が増えることもあります。しかし、自身の記録かどうか判明しないまま、あるいは確認しないまま本人が亡くなってしまうと、その遺族には分からないことも多いでしょう。まして、何十年前の加入記録や、短期間の勤務による厚生年金加入記録などはなおさらとなります。そういった記録は永久に宙に浮いたままとなることもあり、全ての記録を解明させることは現実的には難しいと言えます。