そして、口をとがらせてこう言い返してきました。「あなたは心配し過ぎ。老後なんて、何とかなるものよ。うちの実家の両親だって、大して貯金もせずに、年金だけでちゃんと暮らしていたじゃない」。そうはいっても、亡くなった妻の父親は地方で先祖代々の家に住んでおり、現役時代の職業は教員です。小さな会社の従業員の私とでは、退職金の額も、年金の額も比較になりません。

定年後を思うと鬱々…

大学の同級生からは、数年前に勤務先で定年前研修が開かれ、老後の生活設計についてのレクチャーを受けると同時に、個別に専門家に相談する機会もあったという話を聞きました。しかし、私の勤務先は個人商店に毛が生えたような規模の会社ですから、そんな恵まれた環境は望むべくもありません。

このままでは65歳どころか、一生働かざるを得なくなるんじゃないか。そう思うと、目の前が真っ暗になりました。先代の社長に育ててもらった私は今の社長とは意見が合わないことが多く、社長の言葉の端々に「さっさと辞めてほしい」という本音が見え隠れしていました。

定年後を思い鬱々とする私の様子を気にかけてくれたのが、近くに住む長女の夫でした。妻に似て楽観的な長女とは対照的に穏やかで思慮深い婿とはウマが合い、私の家で酒を酌み交わすこともしばしばでした。恥を忍んで川越さんの話とわが家の状況を打ち明けると、婿はおもむろにこう言いました。

「お義父さんにぜひ紹介したい人がいます!」

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※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。