栗橋浩さん(仮名)は今年還暦を迎えたばかり。大卒後38年勤めた会社を定年退職し、今は別の会社に勤務しています。新しい職場で心機一転、定年ライフを踏み出した栗橋さん。今でこそやる気満々に見えますが、2年ほど前までは「定年後の自分の生活がどうなるのか、不安で夜も眠れないくらいだった」と振り返ります。

栗橋さんの勤務先はメーカーの孫請け会社だったため、給与水準はそれほど高くありません。一方で数年前まで教育費などの負担が重く、十分な老後資金を準備することができませんでした。幸い、標準的な年金額は受け取れそうですが、60歳で定年退職したら年金が受給できる65歳までは無収入。しかも、60歳以降も住宅ローンが残ります。同じマンションで親しくしていた人が住宅ローン破産したことで、栗橋さんも「明日はわが身」と戦々恐々としていたそうです。

そんな栗橋さんの心配を取り除き、新たな道を示してくれたのが、長女の夫に紹介されたお金の専門家でした。栗橋さんが今に至る経緯を語ります。

〈栗橋浩さんプロフィール〉
東京都在住
60歳
男性
会社員
妻と2人暮らし
金融資産1200万円(妻の投資を除く)

***
 

「このままでは大変なことになる」。強い危機感を覚えたのは2年前、同じマンションで懇意にしていた60代の川越さんご夫婦が突然姿を消したことがきっかけでした。特に妻は川越さんの奥さんと親しく、月に数回は一緒に買い物や美術展などに出かける仲でした。そんな川越さんが私たちに何も言わず急に引っ越してしまったことは不可解極まりなく、妻も「何かあったのかな」と気にかけていたようでした。