古賀明日香さん(仮名)は福岡市内の大手デザイン事務所に勤務するデザイナー。童顔で20代前半にしか見えませんが、事務所では5人のチームを率いるチーフの要職にあり、「5歳年上の彼は飲食店の経営者。コロナ禍で苦労しているので、私は今の仕事でキャリアアップして2人で一緒に頑張っていきたい」と話す姿からは、独立心の強さと年齢相応の落ち着きが感じられます。
そんな明日香さんには、コロナ禍でこの男性との結婚が一旦延期になった苦い過去があるのだとか。「当時の私には彼との結婚が全てだったので、本当にド~ンと落ち込みました。仕事も手に付かず、1カ月ほど家に引きこもっていました。どうしようもない“甘ちゃん”だったんです」。しかし、明日香さんは異業種交流会に参加したことから将来に向けた資産形成を考えるようになり、iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用をスタート。それを機に生き方や彼との関係を見つめ直し、今の何事にも前向きな自分になれたと言います。明日香さん本人に、挫折から見事に立ち直ったドラマチックなストーリーを聞きました。
〈古賀明日香さんプロフィール〉
福岡県在住
29歳
女性
デザイナー
結婚歴なしのシングルで独り暮らし
金融資産300万円
突然言われた「結婚する自信がない」
ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見ていると、乳児を連れた私と同世代の母親が大切な家族や住まいを奪われ、右往左往している姿が気の毒で堪らず、涙が出そうになります。戦争で人生そのものを狂わされた彼女たちと比べれば小さなことですが、私自身もこのコロナ禍で大きな人生の挫折を経験しました。
私の人生の挫折、それは結婚が延期になったことです。交際して3年になる飲食店を経営する男性からプロポーズされ、結婚式場や新婚旅行、新居探しなど準備を進めていた矢先に新型コロナウイルスのパンデミックが起きました。緊急事態宣言が発出され、彼のお店は休業を余儀なくされました。何とか営業再開にこぎ着けても客足は戻らず、従業員への対応や運転資金確保の重圧から、いつもは快活で冗談ばかり言っているような彼が円形脱毛症になるほど追い詰められました。