日経225型では2種類のベンチマークが混在

上記でご説明しましたリターン差の確認ですが、同じ手法を日経平均株価(日経225)に連動させるインデックスファンドで行う際には注意が必要です。 以下は代表的な日経225型インデックスファンドの2022年1月末現在の月次報告書から抜粋したデータです。

また別な日経225型インデックスファンドでは2022年1月末現在で以下の数字となっています。

2つのファンドの大きな違いはベンチマークの違いです。同じ日経225型でありながら、上は株式の配当金を含むトータルリターンインデックスをベンチマークとする一方で、下は配当を含まない株価変動のみで計算される日経平均株価がベンチマークとなっています。日経平均株価採用銘柄の配当利回り(実績ベース)は年率約1.78%(2月14日現在(注4))です。その結果、下のファンドは、インデックスファンドでありながら、ベンチマークを上回るリターンを挙げるという不思議な結果となってしまっています。

(注4)出所:日本経済新聞

日経225型では2つの市場指数がベンチマークとして混在しており、未だ配当を含まない日経平均株価指数をベンチマークとするファンドが多数を占めているようです。日経225型のインデックスファンドで、リターン差を検証される際には、どの指数をベンチマークとしているのかにご注意ください。

今回は、インデックスファンドの選び方の2段階目である過去の運用実績の評価についてお話ししました。インデックスファンドでは、アクティブファンドと異なり、運用実績をベンチマークとの連動性と考えると、過去の成績と将来期待される成績にはある程度の相関があると考えられます。想定外のリスクを負わないためにも、過去のベンチマークとの連動性あるいはリターン差を測定して、選定に生かすことが必要でしょう。

次回は、“優れた”インデックスファンド選定のためのプロセスの最後の段階である、インデックスファンドの今後の信頼度の定性評価についてお話しします。