数多くのインデックスファンドから選ぶには

コスト最優先で良いでしょうか?

最近はかつてないほどインデックスファンドの人気が高まっているようです。特に株式に投資するインデックスファンドはどの販売チャネルでも売れ筋にランクされています。また新聞や雑誌あるいはインターネット上の資産運用に関する多くの記事には、(特に初心者には)インデックスファンドがおすすめであるとの意見が掲載されています。しかしながら、数多く運用販売されているインデックスファンドの中から、どうやって最適なものを選べば良いのかについては詳しく書かれているものは多くありません。

これは、「インデックスファンドなんてどれも似たり寄ったり」なので、「信託報酬などの運用コストの安さが最も重要な選定のポイント」と考える方が多いためかもしれません。しかし、あくまでも定められた市場指数に連動させることを目指すインデックスファンドであるが故に、アクティブファンドを選ぶ場合とは異なる難しさがあります。

本連載では今回より「“優れた”インデックスファンドの選び方」についてお話ししていきます。第一回の今回は、“優れた”インデックスファンドとはどんなものかを確認した上で、その選定の難しさを考えます。その上で選定のためのプロセスをご説明します。

“優れた”インデックスファンドとは

定められた市場指数に連動したリターンが期待できるファンド

ある金融機関のホームページでは、インデックスファンドとは、「株価指数などの指標に連動した運用を目指す投資信託」であると説明されています。また別の金融機関によれば、インデックスファンドは「『パッシブファンド』とも呼ばれ、インデックスに連動させる『受け身』の投資手法を用いる」とも説明されています。

インデックスファンドの運用目標は指数との連動を目指すことですので、“優れた”インデックスファンドとは「目標とする市場指数にできる限り近いリターンを継続して挙げることが期待できるファンド」ということになります。インデックスファンドには、アクティブファンドのようにより高いリターンを挙げることを求められてはいないことにご注意ください。

インデックスファンド選びの難しさ

インデックスファンドでは全ての投資判断は投資家が行う

インデックスファンドでは、事前に定められた方針に従って運用を実行し、運用資産を管理します。しかしながら、運用者/チームが能動的に投資判断を行うことはありません。アクティブファンドでは運用者が投資判断(の一部)を代行しますが、インデックスファンドではそれは期待できません。インデックスファンドを利用した投資成果は全て投資家自身による判断の結果となります。また、インデックスファンドの多くは、購入時手数料や信託報酬等のコストを抑えるためにオンラインで販売されています。そのため、投資開始前に販売会社やその担当者から対象市場や資産に関する参考情報を入手する機会も限られると思われます。

つまりインデックスファンドに投資するということは、専門家のサポートなしで、投資成果に繋がる全ての投資判断を投資家自らが行うということになります。多くの投資入門書などには「インデックスファンドは初心者向き」と書かれていますが、この表現は大きな誤解に繋がると思います。

確かにインデックスファンドはファンドの仕組みはシンプルですし、コストも低水準です。しかしながら、より良い投資成果に繋がる資産運用をインデックスファンドを利用して行うことは、それほど容易なことではありません。初心者であるにも関わらず、専門家のサポートなしに全ての投資判断を自己責任で行わなければならないからです。「インデックスファンドは投資初心者向きである」とは必ずしも言い切れないと思われます。