Topic 3 その回答、ベターな回答? ベストな回答?
では皆さんは、自分が具体的にどの商品を選べば良いか(個別商品の具体的な推奨)を、誰に質問すれば良いのでしょうか? 企業型の場合は会社でDC制度運用を担当する部署やその担当者に質問するのが賢明です。個人型の場合は自分で探さなければいけませんが、ファイナンシャルプランナーやDCに精通した外部専門家を利用するといった方法もあります。
しかしどちらも『自分はどの商品を選べば良いか』という質問に回答を得られたとしても、長期運用という視点に立ってみると、その回答の賞味期限は、質問者の運用期間満期まで通用するわけではありません。
何故なら前述の通り、運用は様々な情勢によって変動しますし、質問者である加入者自身も年齢を重ねるにつれてライフステージが変化します。つまり運用は常に変化の中で行うものであり、何ひとつ止まっているものはないということです。仮に質問した20代の加入者が、その時点で(ベスト)な回答を得たとします。しかし30代・40代・50代と時間の経過と共に、ベストだった回答もベター、あるいはまったく合わない回答へと変化します。
この変化と運用の関係については別のコラムでお話しますが、こうした変化に応じて柔軟に対応していくべき加入者自身が対応せず、長年に渡り放置してしまっている方が非常に多いというのが現状です。私はこの個別商品推奨ができていないという課題と合わせ、実はこの加入者が誤って抱く安心感に対して大きな課題感を持っています。
運用は、様々な情勢による変化とご自身のライフステージ変化をシンクロさせ、然るべきタイミングでご自身の運用方針見直し・行動することが非常に重要であることを忘れないようにしてください。
Topic 4 DC、言うは易し行うは難し
ここまで私がお話したことは、運用をやったことのない方や苦手意識を持った方からすれば、一見すると総論的に感じられたかもしれません。リスクという言葉の解釈や、自分が選べば良い商品は何か?という質問に共通するのは、結局のところ“自分ではわからないから”であり、とにかく不安を安心に変えたいと思う気持ちですから、ピンポイントの情報収集を目的とする人からすれば、そう思うのは当然です。
しかしそれを踏まえた上で、敢えて私から皆さんにお伝えし続けたいのは、DC運用に関する基本を忠実に確実に理解していただきたいということです。前のトピックで、運用は常に変化の中で実行するものだとお話しましたが、様々な変化に合わせる対応力は、すべて基本がしっかりしているから発揮されるものですし、基本が抜けてしまっている方にその対応力があるかというと、残念ながら難しいと言わざるを得ません。
それが出来る加入者になっていただけるために、企業・運営管理機関が提供する初心者や苦手意識を持つ人でもわかりやすく構成された教材を使った投資教育が提供されているにもかかわらず、なぜ運用現場では自分に合った運用が出来ていない人が大勢いるのでしょうか? 要因は色々あるとは思いますが、私の私見として申し上げると、これから運用を始めようとする方や苦手意識を持っている方にとって、教育と行動は“似て非なるモノ”であり、そのギャップを解消する具体的な施策が必要であると感じています。
私が今の会社を創業し、DC運用サポートに専従しているのは、この加入者目線の課題を少しでも解決しようと考えているためです。