Topic 2 シンプルかつ永遠のテーマ 運用商品、結局自分はどれを選べばよいのか

次に、DC運用をやっている加入者なら一番聞きたいと思われる『運用商品の選び方』について少しお話 します。

私は過去、運営管理機関の人間として1,000社以上のDC導入企業、そこに在籍する社員の皆さんへ教育やセミナーなどを行っていましたが、そこで必ずと言ってよいほど質問されたのが「結局自分はどの商品を選べば良いのか?」です。しかしその非常にシンプルな質問に、私はその場で答えてあげることができませんでした。

以前このコラムで、運用を行う上で必要となる情報は、企業型DC加入者であれば事業主が提供する継続投資教育を通じて、iDeCo加入者は運営管理機関の中には自社サービスを購入した加入者に向けて提供される情報から入手できると言いました。どちらも理解度を初心者にフォーカスしており、とてもわかりやすい教材です。何故それだけわかりやすく学習しているはずの加入者の多くが、その質問を私にしてきたのでしょうか? そして私は何故答えることができなかったのでしょう? その理由については意外と知られていません。

それは、運営管理機関は確定拠出年金法で“個別商品の推奨行為が禁止”されているためです。運営管理機関が企業・個人向けに販売するDC商品には色々なタイプの商品があります。提供時、商品分類や運用会社、信託報酬率や信託財産留保額や商品特徴などの情報を提供しますが、運用をまさに今から始めようとする皆さんにすれば、そこに記載されている商品の詳細を理解するのも大変ですし、正直よくわからないと思います。そうなると判っている人に聞きたくなります。この“判っている人”というのがまさに当時の私であり、当時の立場では法律によりお答えできなかったということです。