Topic 1 加入者を躊躇させる心理的な障壁 ─ リスクという言葉の意味
前回までのコラムを読んでいただいた皆さんの中には、DC運用が自分自身の年金を確保する上で、非常に有効な手段であり、早速運用を始めてみようと思われた方もいらっしゃると思います。私自身もぜひ早く運用を始めていただきたいと思っていますが、これから運用を始める人や、すでに加入者であるにもかかわらず、DCをよく理解できていない人のほとんどが直面し、考え悩んでしまう障壁として『リスク』というものがあります。
リスク ─ この言葉を聞いて、皆さんは何を想像しますか? 私の経験上、ほとんどの人は“運用でお金を損する危険=リスク”をイメージされることでしょう。確かにその解釈は間違いではありません。しかし、DCに関わる皆さんにとっての『リスク』という意味は、その解釈だけでは正しいとは言えません。
DC運用含め、金融の世界で使われている『リスク』とは、『リターンの振れ幅』の意味で使用します。運用していると、様々な社会情勢により運用して得られるリターン(収益)は変動します。意味を正しく理解していない方は、この変動によって収益がマイナスとなる事が『リスク』だと言われている訳ですが、リターンの振れ幅というのは、マイナスになるだけではなくプラスにもなる訳で、この増減双方を総じて『リスク』と言います。
DCは長期運用です。受け取りは原則として60歳にならないとできません(正確には加入年齢によって異なる)。DCを運用している期間中、様々な社会情勢に伴い運用益の増減は必ず発生します。ただ漠然と怖がるのではなく、資産運用するというのはリターンの振れ幅があるという前提に立ち、適切な運用を行っていけば良いということを忘れないでください。